【新型コロナ】宣言解除「むしろ緊張感をもって」 川崎市健康安全研所長が厳しい見方

新型コロナ緊急事態宣言解除について報告する岡部所長=川崎市川崎区

 緊急事態宣言の解除をめぐり、政府諮問委員会のメンバーで川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は19日、「全面的解放という状況にはない。むしろ緊張感をもって続きを見ていかねば」と厳しい見方を示した。今後のポイントとして、変異株対策や、積極的疫学調査の徹底、検査の重要性を挙げた。感染症対策本部会議後、報道陣の取材に答えた。

 「患者は微増だが、病床を占めてはいない。今後患者が少し増えても入院できる」。岡部所長は解除の背景をこう述べ、私権の制限に配慮し諮問委が解除を了承したと説明。「(状況が)よくなってきたから解除ではない」と釘を刺した。

 気になるのは、経路不明の感染者増という。「どこかで(感染が)広がっている可能性があるが、見つけ出されていない」と懸念。積極的疫学調査の着実な実施に合わせ、検査できる民間施設も増えているとして「リスクが高そうな所」で積極的に検査をすることの重要性も説いた。

 また、課題は「変異株への備え」と表情を引き締めた。現在、変異株の感染者は、経過観察と隔離のため軽症でも入院している。今後感染者が増加すればそうした措置は中止するとし、「変異株であってもなくても感染への注意は共通」と、引き続き従来の感染対策の徹底を呼び掛けた。

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