佐世保・早岐瀬戸「観潮橋」を登録有形文化財に 国の文化審答申

国の有形文化財への登録が答申された観潮橋=佐世保市内(市教委提供)

 国の文化審議会(佐藤信会長)は19日、長崎県佐世保市の早岐瀬戸に架かる「観潮橋」を有形文化財に登録するよう萩生田光一文部科学相に答申した。登録されれば、県内の建造物に関する登録有形文化財は130件、同市は14件になる。
 観潮橋は、同市の早岐地区と有福町を結ぶ長さ36メートルの道路橋。国指定名勝「平戸領地方八竒勝(ひらどりょうぢかたはっきしょう)(平戸八景)」の一つで、潮の満ち引きで激流が生まれる「潮之目」にある。
 市教委文化財課によると、西海橋(国指定重要文化財)の建設資材を運ぶトラックを通行させるために1954年に建設。橋桁を支える左右の「主構造」の上部を鋼材でつなげる形ではなく、左右それぞれで鋼材を三角形に組み合わせて強度を保つ「ポニーワーレントラス形式」を採用している。
 潮の流れが早い場所での工事だったことから、台船の上に主構造を載せて干満差を利用して橋を架けた。古典的な構造の橋ながらも現在も地域生活に欠かせない橋として利用されていることや、潮之目と融合した景観などが登録の基準を満たしたという。
 朝長則男市長は「観潮橋をわが国の歴史を示す貴重な文化財として、そして本市の宝として地域住民と共により一層保全に努め、広く周知啓発したい」とコメントを出した。

 


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