21年春は「聖徳太子」がテーマ! JR西日本「ちょこっと関西歴史たび」キャンペーンレポート

聖徳太子が創建した寺、法隆寺

JR西日本では2021年3月20日(土・祝)から6月30日(水)まで、「ちょこっと関西歴史たび  聖徳太子 1400年御遠忌」キャンペーンを開催します。今回の記事では、一足先に体験したその内容と見どころをご紹介します。

関西の歴史を楽しめる「ちょこっと関西歴史たび」

「ちょこっと関西歴史たび」は、JR西日本が季節ごとに開催しているキャンペーン。「歴史を知ると、散策がさらに楽しくなる」をテーマに、沿線地域と連携してさまざまな特別企画を行っています。

2021年春のテーマは、聖徳太子の没後1400年の御遠忌(ごおんき)。大阪府にある四天王寺、愛染堂勝鬘院(あいぜんどうしょうまんいん)と、奈良県にある法隆寺、達磨寺、信貴山朝護孫子寺(しぎざんちょうごそんじじ)、合わせて5つの聖徳太子ゆかりの寺院でガイド付きツアーや名宝展、特別御開扉などの企画が実施されます。

今回はこの5つの寺院の中から、奈良の法隆寺と大阪の四天王寺を訪れました。

奈良と大阪を結ぶ大和路快速。キャンペーン参加時にはこの路線が便利

ボランティアガイドで「法隆寺」を深く、濃く知る

まず訪問したのは、法隆寺。607年頃に聖徳太子が創建したと伝わる寺です。

最寄りの駅はJR法隆寺駅。駅は寺院風の外観で、改札内にはフォトスポットが、改札外には法隆寺金堂内に描かれている壁画の一部が再現されています。

JR法隆寺駅。寺院風の外観が落ち着いた雰囲気
構内にあるフォトスポット
再現されている壁画の一部

駅から法隆寺までは徒歩約20分。バスを利用すれば約8分で到着します。

まずは法隆寺古谷管長のお話を伺います

ここで体験したのは「斑鳩の里観光ボランティアの会」のボランティアガイドによるツアー。

ボランティアガイドさん。分厚いファイル片手に案内してくれます

ガイドさんが手にしているのは、オリジナルの資料ファイルです。非常に分厚いファイルに、説明に必要な画像などがぎっしりファイリングされています。

必要に応じてファイリングされた資料を見せながら説明してくれるのですが、これがとてもわかりやすい!

たとえば五重の塔の歴史はもちろん建築上の特徴、安置されている粘土像の意味などをファイルの画像を見せながら細かく説明。ひとりで見ているだけではおそらく気が付かなかったであろう話もいろいろ出てきて、見学時間が非常に濃くなります。

ボランティアガイドには現在80人以上の方が登録されています。そしてこの資料ファイルは各ガイドさんのオリジナル。基本的なガイド内容は同じですが、細かな部分はそれぞれのガイドさんによって違うのだそう。

夢殿。聖徳太子が暮らした斑鳩の宮跡に建っています

キャンペーン期間中、法隆寺ではボランティアガイドによるツアーを毎日開催します。そのほか、古谷管長による特別法話(ボランティアガイドツアー付き)も行われます。いずれも「斑鳩町観光協会」への事前予約が必要です。

慈悲の心を実践する「四天王寺」で、聖徳太子の事績を知る

JR法隆寺駅から大和路快速を利用して四天王寺の最寄り駅であるJR天王寺駅へ移動しました。JR天王寺駅は、日本一高いビルあべのハルカスと隣接している一大ターミナル駅。四天王寺へはここから徒歩10分あまりです。

JR天王寺駅(右)とあべのハルカス(左)
四天王寺中門。背後に五重塔が見えます
南門前には聖徳太子の飛び出し坊やがいました

四天王寺は593年に創建された寺院です。法隆寺より少し早めに建てられた寺で、伽藍(がらん)の配置は法隆寺と非常によく似ています。

四天王寺の特徴は、仏教の教えの基本である慈悲の心を実践する「実践寺(じっせんでら)」であることです。そのため四天王寺には、さまざまな宗派の僧侶が集まってお勤めをしています。境内にも、天台宗の元三大師を祀る元三大師堂、真言宗の開祖弘法大師を祀る大師堂、浄土真宗の開祖親鸞聖人を顕彰する見真堂など、宗派を越えたお堂があります。

四天王寺で体験したのは、そんな僧侶の方によるガイドツアー。

「絵堂(えどう)」の壁画を身振り手振り交えて解説

僧侶による聖徳太子や寺院の解説ということで、仏教用語なども多く出てきそうなイメージがありました。しかし、実際の解説はユーモア混じりで、非常にわかりやすいもの。「大阪のお坊さん」らしい、親しみやすさやひょうきんさを感じます。

仏教や四天王寺の説明、歴史のお話はもちろん、境内案内ではゆるめのお話も飛び出します。猫の彫り物がある「猫之門」の由来や、この猫にまつわるさまざまな小話、「番匠堂」という小さなお堂の幟(のぼり)の字に大工道具が使われている理由や、「亀の池」にいる亀の話など、「へー!」と思わず声が出るような話もいろいろ教えていただきました。

「猫之門」の猫はオスの三毛猫だそうです
「番匠堂」の幟。大工道具の「南無阿弥陀仏」がユニーク

四天王寺ではキャンペーン期間中、僧侶による境内案内(要予約)のほか、絵堂の特別御開扉、春季名宝展、特別御朱印の配布などが行われます。

「ちょこっと関西歴史たび 聖徳太子1400年御遠忌」キャンペーンでは、法隆寺や四天王寺以外の寺院でも、境内の案内ツアーなどさまざまなイベントが開催されます。歴史好きな方、鉄道を利用してのお出かけをしたい方は、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

文/写真:鶴原早恵子

※各企画の詳細、予約・問い合わせなどは、JR西日本が2021年2月24日付けで発表したプレスリリース「ちょこっと関西歴史たび『聖徳太子 1400 年御遠忌』開催について」などをご確認ください。

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