石木ダム本体 掘削工事 6月末まで工期延長 長崎県が方針

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、県は19日までに、初めてとなるダム本体工事の工期を6月末まで3カ月間延長する方針を固めた。ダム本体の両端斜面を掘削する工事で、反対住民との話し合いを模索する中で着工には至っていない。日程的に工期内の完了は難しく、同日付で、県石木ダム建設事務所が契約内容の変更を施工業者に申し込んだ。
 同事業を巡っては、土地収用法に基づき全用地の所有権が県市に移っているが、13世帯の反対住民が水没予定地に今も住み、県道付け替え道路工事現場で抗議の座り込みを続けている。家屋などを強制撤去する行政代執行も可能だが、中村法道知事は「円満に土地を明け渡してもらうのが最善」として、話し合いを模索している。
 掘削工事は昨年12月、ダム本体工事としては初めて入札を実施し、佐世保市内の業者と3月26日までの工期で契約。測量など着工準備は整っている。19日の定例会見で年度内着工の可否について中村知事は「住民は話し合いの前提として工事の中断を求めている。そういう状況を総合的に判断したい」と述べた。
 県道付け替え道路工事の工期も同26日だが、住民らが座り込みを続ける区間の盛り土が完了していない。県河川課の浦瀬俊郎課長は「少しずつ安全第一に進めている。ぎりぎりまで年度内完成を目指したい」とした。
 県は、本年度の同事業費のうち最大5億2千万円を新年度に繰り越すための議案を定例県議会に提出。19日の最終本会議で原案通り可決された。

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