人慣れ原因? 猫の口に釣り針 釣り客のマナー向上訴え 長崎・野母崎

口元に釣り針が刺さった野良猫=長崎市野母崎脇岬町(菅原さん提供)

 「野良猫の口元に釣り針が刺さっています。(中略)捕獲ノウハウをお持ちの方がいらっしゃいましたらメッセージいただけるとありがたいです」。18日夕、長崎市野母崎樺島町の自営業、菅原真希さん(35)が、知人がその日撮影した写真を添えて、フェイスブックに投稿した。

 メッセージを見た人が、県内で犬猫の保護活動をしている「ジャーフ アニマルレスキュー」(同市)の浦川たつのり代表(45)に連絡。針を抜いて治療するため、翌日捕獲することになった。
 19日午前、浦川さんが現地に到着したころ、先に猫を探してくれていた住民が路地裏で発見し、タモ網で捕獲。猫が暴れて、網から逃げた時に針は口元から外れていた。釣り針がタモ網に引っかかり、偶然きれいに外れたとみられる。
 釣り針の長さは約2.5センチ。捕獲作業に協力した地元の遊漁船の船頭、森泰介さん(39)は「おそらく『泳がせ釣り』に使う針だろう。餌のアジが針についたままの状態で食い付いたのではないか」と推測する。釣り客らが自身で食べない魚を捨てることもあり、釣り客のそばで魚を狙う、人慣れした野良猫が少なくないという。

野良猫の口元に刺さっていた釣り針

 森さんは「釣り客だけではなく、猫好きの人も来ている。地域に人が来てくれることは飲食店も潤いありがたいが、餌を与えないなど最低限のマナーは守ってほしい。これは野母崎に限った話ではない」と訴える。
 野母崎地区は県内外から多くの釣り客が訪れる人気スポット。そのため、ごみ放置も長年の問題となっている。今年に入り、本紙などで同地区のごみ問題が取り上げられたこともあり「減ってはきている」と菅原さん。ただ、釣り針のごみを見掛けることはまだ多く「鳥や猫といった動物だけでなく、子どもたちにも危険」とさらなるマナー向上を切望する。
 過去には体に複数の釣り針が刺さった猫を見つけたこともあるという浦川さんは、今回のケースを「たまたま分かりやすく見つかっただけで被害はもっとあるだろう」と指摘。人間が捨てた人工物によるけがは「人間が助けてやるべき」だとし、共生を目指す上で「(地域住民で飼育管理する)地域猫という選択肢も考えていくべきだ」と話す。


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