小池都知事「解除後はリバウンド防止期間に」 緊急事態の解除決定で警戒感

首都圏1都3県の緊急事態宣言が3月21日をもって解除されることが決まりました。発表から一夜明け、東京都の小池知事は「解除された後もリバウンドを防ぐ期間と捉えてほしい」と述べ、感染対策を継続するよう呼び掛けました。

東京都内では19日、新型コロナウイルスの感染者が新たに303人確認され、4日連続で300人を超えました。重症者は前日から2人増え、46人となりました。21日で緊急事態宣言が解除されることが決まったことを受け、東京都の小池知事は19日の定例会見で「東京の状況は芳しくない。依然として厳しい。人の流れが増えている。一方で、宣言『解除』という2文字によって人の流れが増えていくのではないかと心配している」「宣言解除の22日からはご自身やご家族の健康を守る『リバウンドを防止する期間』と考えていただきたい」と述べ、解除後も対策を徹底するよう都民に呼び掛けました。また、東京都など1都3県は連携して、宣言が解除される22日から3月末までを「段階的緩和期間」として飲食店の営業時間を午後9時までに短縮するよう要請する方針です。4月以降については感染状況を見て改めて協議する方向ですが、小池知事は「感染状況次第ということは事実だが、そういったことをにらみながら、どういった方法でやるのか、国との関係もあるのでよく調整を図りながら、都として首都圏としてどういう形でいくのか、できるだけ早めに決めていければ」と述べるにとどめ、いつごろ決めるかは明言しませんでした。

<客離れと第4波への不安 街は"板挟み”の苦悩>

緊急事態宣言の解除が決まったことに対し、街の飲食店からは緊急事態の解除を歓迎すると同時に、先行きへの不安の声も聞かれました。2020年4月、最初の緊急事態宣言が出された時に建物外側の窓ガラスに「助けてください」と大胆な張り紙を貼って窮状を訴えたことで話題となった東京・中野駅前にあるフレンチレストラン「ネオビストロ ムラ」は、2回目の緊急事態宣言で再びお客さんが離れ、売り上げは厳しい状況だといいます。大村俊亮オーナーは「売り上げから家賃や人件費が引かれるとなかなか厳しい闘い」と語り、間もなく営業時間が1時間延長されることは歓迎しつつも、協力金が6万円から4万円に減ることは納得できないようです。大村さんは「正直、何を基準に4万円、6万円なのか。家賃が60万円を超えていて、やはりきつい」といいます。ちなみに現在の張り紙は「負けない!めげない!もうひと踏ん張り!」で、自らを鼓舞しつつ、道行く人々にエールを送っています。

一方で、解除の恩恵がすでに出ている業界もあるようです。東京・港区にあるホテル「ザ・プリンス パークタワー東京」では、屋外でのお花見ができない中、ホテルの部屋から都内有数の桜の名所である芝公園や増上寺の桜が眺められ、豪華な料理も楽しめるプランを用意しています。東京プリンスホテルの篠原加奈さんは「緊急事態宣言の明ける21日から桜の満開に向け、徐々に予約が入ってきている」と話します。

上野のアメ横では「これ以上緊急事態宣言が長引けば、店がもたなかっただろう」という声が上がっています。アメ横商店街連合会の千葉速人副会長は「商売人としては、やはりお客さんに来ていただかないと、いつまでたっても大変な状況になっている」と話します。そして、現在の心配は今回の解除による「第4波」です。千葉副会長は「減っても400人、500人。そこから変わらないじゃないですか。ある意味、限界なのかな。そうすると、もう一歩進んで飲食店だけでなく物販業なども視野に入れてほしい。ということは、イコール給付金。ただ休めと言われても休めない」と不安を口にしました。

感染拡大を心配する気持ちと現実の売り上げの落ち込みとの板挟みに苦しんでいる経営者の声は、果たして届くのでしょうか。

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