「ありがとう」モハ2形109号ラストラン 箱根登山鉄道

最終運行するモハ2形109号に多くの乗客が乗り込んだ=21日午後2時55分ごろ、箱根登山鉄道強羅駅

 90年以上にわたり箱根の交通を支えてきた箱根登山鉄道の車両「モハ2形109号」が21日、引退した。多くの鉄道ファンらが「長年の労」をねぎらうとともに、別れを惜しんだ。

 同鉄道強羅駅には、大雨にもかかわらず、ラストランに立ち合おうと多くの鉄道ファンらが集結。午後2時55分ごろ、3両編成が到着すると、ファンらが車体や方向板を写真に収め、次々と乗り込んだ。

 乗務員がアナウンスで109号の歴史を説明。箱根湯本駅に到着し運行終了を告げると、乗客が拍手で応えた。川崎市多摩区から訪れたアルバイト鈴木弘昭さん(40)は「古い車両も年々少なくなり寂しいが、また登山鉄道に乗りに箱根に来たい」と笑顔だった。

 109号は同社で最も古い車両の一つで、1927年以降に登場した「チキ2形」の9号を作り替え、53年に「モハ2形」となった。後に鉄製車体に改造されたが、現在まで屋根や乗務員室の一部に木造部が残っていた。引退後は解体され、一部は他車両の予備パーツとして残される。

 同社の担当者は「多くのお客様に見送られ109号は幸せ者。長年頑張ってくれてありがとうと伝えたい」と話した。

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