【マレーシア】首都中心部に1号店開業[商業]

ドンキ、3年間で11店舗展開へ

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ディスカウント店「ドン・キホーテ」などを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は19日、マレーシアの首都クアラルンプール中心部の商業施設「ロット10」に同国1号店を開業した。日本から輸入した食品や日用雑貨品を取りそろえ、高品質・低価格を武器に地元の消費者を引きつける考え。今後3年間で国内11店舗の展開を目指しており、多店舗化でさらなるコストダウンを実現する。

18日の内覧会に出席したアレクサンダー・ナンタ・リンギ国内取引・消費相(中央)と町田氏(右)ら(PPIH提供)

マレーシアでは、PPIHのアジア向けブランド「ドンドンドンキ」が厳選した日本の商品と自社オリジナル商品「情熱価格」を中心に取り扱う新業態「JONETZ by DON DON DONKI(ジョウネツバイドンドンドンキ)」として事業展開する。

1号店はクアラルンプールの繁華街ブキビンタンにあるロット10の3フロアを占め、売り場面積は2,181平方メートル。ロット10のオーナーである地場コングロマリット(複合企業)YTLコーポレーション傘下のYTLランドとは、2年前から出店交渉を開始した。当初は昨年末に開業の予定だったが、新型コロナウイルスの影響でずれ込んだという。

開業に先駆けて18日に開いた内覧会で、PPIHの現地法人パン・パシフィック・リテールマネジメント(マレーシア)の町田悟史社長はNNAに対し、「マレーシアでの売れ筋は日本産の青果のほか、刺身などの生鮮品、店内で調理する総菜類や弁当、菓子類といった食品が中心になる」と説明。新型コロナウイルス対策としての外国人観光客の入国制限でブキビンタンの小売店は青息吐息だが、主なターゲットはあくまで地元客とマレーシア在住の日本人だとし、「1人でも多くのマレーシア人顧客を取り込みたい」と意気込んだ。

マレーシアでの販売価格は日本国内の1.3~2倍程度。例えば、通常は空輸が多い青果も、特殊なコンテナを用いて船で輸送できるようにし、高品質な日本産品の手頃な価格での販売を可能にした。取扱量が増えれば物流コストをさらに低減できるため、今後の多店舗展開で低価格化を一段と進める考え。

またPPIHは昨年、日本で国産農水産物の輸出拡大に向けた会員制組織を立ち上げた。これは生産者と年間購入契約を結ぶことで、1年を通じた供給と価格の安定を目指すもの。マレーシアで販売する農水産物のうち、年間購入契約の恩恵を受けているのは一部にとどまっており、この取り組みが広がればさらなる低価格を実現できる見通しだ。

マレーシア1号店には早朝から入店を待つ長蛇の列ができた=19日、クアラルンプール(NNA撮影)

■ハラル商品を拡充へ

マレーシアは人口の6割超をイスラム教徒(ムスリム)が占める。そのため、近隣のシンガポールやタイの店舗に比べ、ロット10店ではハラル(イスラム教の戒律で許されたもの)認証商品やノンポーク・ノンアルコール商品の取り扱いを増やした。

ただ、そもそも日本国内でハラル認証を取得している企業はごく少数。ロット10店での取扱品目約5,000点のうち、ハラル認証品はラーメンやそば、保存食など一部にとどまっている。ムスリム客の取り込みに向けて、日本産ハラル商品の取り扱いを増やす努力を続けていくという。

アルコール類は、飲酒運転の多発を理由にクアラルンプール市役所が酒類販売免許の新規発給を中断している影響で当面取り扱わない。今後、免許を取得できれば、日本で販売しているハードリカーや果実酒などを展開する可能性もある。

■地方への出店も視野

PPIHは、先月下旬に発表した20年7~12月期の決算報告書で、24年6月までにマレーシアで11店舗程度を出店する計画を明らかにした。クアラルンプールに隣接するスランゴール州コタダマンサラの商業施設「トロピカーナ・ガーデンズ」への2号店出店を既に発表しており、今年半ばに開業する予定。

町田氏によると、近く3号店の出店計画も明らかにする見通し。今後の出店場所については多くの提案を受けており、よい物件があれば地方への出店もあり得るという。

ドン・キホーテは独特の陳列スタイルや商品構成で知られ、マレーシアの店舗にもそうした「ドンキらしさ」は取り入れられている。一方で、「同じ店は作らない」(町田氏)考えで、これから出店していく店舗での取扱商品や売り場構成は、それぞれの商圏を考慮しながら変えていく方針だ。

海外でも「ドンキらしさ」があふれる店内=18日、クアラルンプール(NNA撮影)