阪神・佐藤輝 OP戦最終戦欠場で露呈した怪物ルーキーに「足りないモノ」

オープン戦最終戦を欠場した佐藤輝

阪神がオープン戦9勝2敗2分けで、5年ぶりの〝優勝〟を飾った。虎党の希望もふくらむ一方だが、何と言っても注目は、12球団トップのオープン戦6本塁打を放つなど、今や欠かすことのできない主力打者となった、ドラフト1位ルーキー・佐藤輝明内野手(22=近大)だろう。開幕後もこのまま打ちまくってくれるのか。新たに見つかった課題とともに、首脳陣の操縦法にも注目が集まっている。

オープン戦最終戦の21日のオリックス戦(京セラ)、佐藤輝は試合前の打撃練習を行わず、一時は「ケガ?」と緊張が走った。ただ、試合開始前には球団からの発表で、故障ではないことが判明。ここまでの蓄積疲労を考慮し、22日の休養日と併せた〝連休〟で積極的休養を与え、開幕戦に万全を期すことを目的に、ベンチ入りからも外したのが詳細だった。

話題の大物新人をひと目見ようと、21日の京セラドームの客席1万席分はすべて前売りで完売。矢野監督も試合後「きょう、テルを見にきたファンの人には申し訳ないけど…」と陳謝した。もちろんこの決定は怪物新人を〝パンク〟させないための措置だ。

とはいえ公式戦に入れば、週6試合が通常で、中盤以降には雨天中止となった試合が予備日に組みこまれ、10試合を超える長丁場の連戦が入るのもプロ野球。新人だけに致し方ない側面はあるものの「体力」という数少ない怪物ルーキーの弱点が浮き彫りにもなった。

井上ヘッドは「皆さんが取り上げるまくるものだから(笑い)。それはこれからアイツがスターになるためには、通っていかなければいけない道だし(オープン戦)最終戦をいい形で迎えるのがベストだったんですけど。今日は自重しようかと」と、リフレッシュに重きを置いた経緯を説明。

佐藤輝も「コンディション面を含めて、自分にできる準備をしっかりとして、万全の状態で開幕に臨みたい」と球団を通じてコメントした。

鳴り物入りで入団した佐藤輝はオープン戦で看板に違わぬ実力を披露。地元・関西だけなく、4試合連続弾などで全国区にもなり「近い将来、球界を代表する選手」との評価をもらうまでに至っている。

往年の長嶋茂雄氏(巨人)や掛布雅之氏(阪神)など伝統球団で「ミスター」と呼ばれた選手は「ファンに求められる限りは…」と試合がある以上は、常にグラウンドに立ち続けることを信条としていた。その称号に相応しいポテンシャルを持っていることは、誰もが認めるだけに、あとはプロの世界で、それに相応しい無尽蔵のスタミナも会得していきたいところだ。

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