運賃無料で乗客どっと 路面電車南北接続・1年記念

© 株式会社北日本新聞社

路面電車の利用客で混雑するホーム=21日午前10時45分ごろ、富山駅

 富山駅の南北を走る路面電車の直通運転が始まってから、21日で1年を迎えた。記念で全区間の運賃が終日無料だったため、車内は朝から家族連れや観光客で混雑し、運行に遅れも出た。新型コロナウイルスが収束していないだけに、利用客は「密」状態に戸惑っていたものの、改めて利便性のアップを実感していた。

 富山駅の路面電車停留所には午前10時ごろ、長い列ができていた。車内はすし詰め状態。運行している富山地方鉄道の社員は「環状線の乗り場はこちらです」などと声を張り上げ、利用客の誘導に追われていた。南富山運転区の係員、根上大希さん(24)は「これほどの行列は朝の通勤ラッシュくらい。乗客数は普段の土日の2、3倍だと思う」と話した。

 富山地鉄は普段から、乗務員のマスク着用を徹底し、車内の運賃箱付近にアクリル板を設置するなどの感染対策を講じているが、あまりの混雑ぶりに不安を口にする人も。富山市の60代女性は車内を眺め「結構混んでますね…。まさに『密』という感じ」と心配そうな表情を浮かべた。

 ただ、利用しやすくなったのは確かで、富山市婦中町砂子田の会社員、山田博史さん(33)は家族4人で富山大和に向かうといい「地下道を歩いて南北を行き来していたことを考えると、便利になった」と感慨深げ。岩瀬浜駅方面に向かう電車を待っていた大阪府島本町の30代女性は「路面電車がつながってから駅北にも行ってみたくなった」。

 新型コロナの影響で南北接続初年度の市内電車の利用者数は、2月末時点で前年度比25%減となっている。富山市の男性会社員(34)は「路面電車は全国でも貴重な存在。早くコロナが落ち着いて、収益が回復すればいい」と願った。

 この日は混雑などのため最大20分の遅れが出た。富山地鉄南富山運転区によると、利用客の乗り降りに時間が掛かったほか、信号トラブルや乗用車との接触事故の発生も影響した。