西武の山賊打線は復活するか? クリーンアップ盤石も課題は「1番」と「左翼」

5回に2点適時打を放つ西武・山川穂高【写真:宮脇広久】

故障で出遅れた中村は復帰後三振を量産

■西武 8-6 ヤクルト(オープン戦・21日・メットライフ)

リーグV奪回を目指す西武は、21日のヤクルト戦(メットライフ)で相手が繰り出す8投手に12安打を浴びせ、8-6で勝ちオープン戦最終戦を白星で飾った。果たして、持ち前の「山賊打線」は復活するか。

昨季は2年連続本塁打王の山川穂高内野手がシーズン打率.205、前年比19本減の24本塁打に終わり、2019年首位打者の森友哉捕手も.251と低迷。両主砲の不振がリーグ3連覇を逃す要因となった。今年のオープン戦では、この2人に復活の兆しが見えた。

4番の山川はこの日、4回2死走者なしで相手先発の奥川から左翼フェンス直撃の二塁打。5回1死満塁では右腕・今野から中前2点適時打、6回2死満塁でも左腕・寺島から左前2点適時打を放ち、4打数3安打4打点と打棒を振るった。オープン戦は14試合に出場し、打率.306、3本塁打。3番の森は4打数2安打、20年目・37歳にして「5番・DH」を任された栗山巧外野手も3打数2安打2打点で、ともにオープン戦打率を.359とした。

山川は「いよいよ来週から開幕ですので、ここからが本番」と思いを新たにし、森は「まずは打率3割。自分が正捕手だという気持ちで引っ張っていきたい」と目標を掲げた。栗山は「3、4番を頼もしく感じている。いい形で自分に打席が回ってくることが多いので、なんとか流れを切らないようにと思っている」。クリーンアップは盤石の態勢だ。

辻監督「調子のいいやつと悪いやつで、バランス良く戦っていければ」

しかし、一昨年まで秋山翔吾外野手(現レッズ)が占めていた1番打者のスポットは、今季も埋め切れていない。筆頭候補の金子侑司外野手は、俊足を生かしたセンターの守備には目を見張るものがあるが、打撃はオープン戦11試合出場で打率.226、出塁率.286と物足りない。辻発彦監督は「金子に(1番を)打ち続けるくらいの活躍をしてほしい」と祈るような表情を浮かべる。

さらに今季はコロナ禍で、昨季15本塁打、57打点をマークしたコーリー・スパンジェンバーグ内野手に来日のメドが立たず、レフトのポジションが空いた格好。オープン戦では22歳の鈴木将平外野手、21歳の西川愛也外野手らを起用したが、決め手に欠けた。

また、栗山と並ぶチーム最年長野手の中村剛也内野手は、左ふくらはぎを痛めて出遅れ、ようやく1軍に復帰した19日のDeNA戦で2三振1併殺打。翌20日のヤクルト戦では中前打2本を放ったものの、この日は2三振1死球。1軍レベルの球に目が慣れていない印象だ。開幕までにどこまで調整するか。辻監督としては、三塁に売り出し中のドラフト6位ルーキーのタイシンガー・ブランドン大河内野手(登録名・ブランドン)を起用し、左翼に栗山、DHに中村を配するオプションを含め、智恵の絞り所となる。

「年間を通して打ち続けるバッターはなかなかいない。調子のいいやつと悪いやつで、バランス良く戦っていければ」と辻監督。就任5年目を迎えた指揮官のタクトで、2021年度版の山賊打線を機能させる。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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