会社員のまま副業するのが最強!本業と副業のパラレルワークのすすめ

増税と社会保険料の増加で、私達の手取り収入や可処分所得はどんどん少なくなっています。支出をおさえるのにも限界があり、資産形成するにはどうしても収入を増やす必要ある人もいるのではないでしょうか。

今回は、働く会社員がいかに収入を増やすのか?をテーマに、副業について書いていきたいと思います。


人生100年時代の副業

複数の仕事をする人=ポートフォリオ・ワーカーという言葉を聞いたことがあるでしょうか?2016年に出版されたリンダグラッドン教授の著書「ライフ・シフト 100年時代の人生戦略」(東洋経済新報社)によると、100年時代といわれる長寿化が進み働く期間が長くなる世の中では人生のステージが「学生⇒労働⇒老後」という3つのステージではなくなり

自分のやりたいことを探すエクスプローラー、
複数の仕事をかけもつポートフォリオワーカー、
そして一つのことで独立するインディペンデントプロデューサー

とステージがコロコロと入れ替わるマルチステージ化していくと語られています。横文字が続くと、なんとなく浮世離れしたイメージになってしまいますが、このポートフォリオ・ワーカーは、言わば様々な「副業」をすること同義です。

現在の日本は副業解禁の方向に大きく舵がきられています。一つの仕事だけでは収入が足りない。または、一つの仕事だけに従事して、もし会社が潰れたら収入がなくなるリスクを回避したいなど、色々な視点があるとは思います。

ここでは「複業」という言葉を使わず、敢えて「副業」とするのは、会社員がいかにメインの仕事以外の収入をどのように持つのかという視点でお話をしたいからです。

副業解禁、政府の方針は?

会社員の働き方を規定したものに、モデル就業規則というのがあります。平成30年1月にモデル就業規則は改定され、労働者の遵守事項の「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」という規定が削除され副業・兼業について規定を新設しました。

さらに、令和2年9月の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の改定に伴い、副業・兼業についての記述を改訂しました。
中では副業に関して、会社員と会社それぞれのメリットを以下のように書いてあります。

【労働者のメリット】

(1) 離職せずとも別の仕事に就くことが可能となり、スキルや経験を得ることで、労働者が主体的にキャリアを形成することができる
(2) 本業の所得を活かして、自分がやりたいことに挑戦でき、自己実現を追求することができる
(3) 所得が増加する
(4) 本業を続けつつ、よりリスクの小さい形で将来の起業・転職に向けた準備・試行ができる

【企業のメリット】

(1) 労働者が社内では得られない知識・スキルを獲得することができる
(2) 労働者の自律性・自主性を促すことができる
(3) 優秀な人材の獲得・流出の防止ができ、競争力が向上する
(4) 労働者が社外から新たな知識・情報や人脈を入れることで、事業機会の拡大につながる

会社員の副業は増えている

たしかに、自由度や選択の幅、経験の幅が広がることは、労使ともにメリットがありそうです。大手企業では、リクルートやYahooが副業をいち早く認め副業がしやすい環境が全体で進んでいるといえます。

この流れを受け、会社員として働きながらも副業をはじめる方が増えてきています。オフィスワークの人にとっては、新型コロナでテレワークが進むことにで、副業はより一層行いやすなりました。

自宅で働きながらのテレワークだと、パソコンの切り替えだけで仕事の対象を切り替えられます。移動時間がない分、副業に時間を使うこともできます。

副業の注意点も

ただし、副業にも注意点もあります。働きすぎで体を壊してはいけないので、健康管理は大事にあります。また、会社で副業規定がないからといって、「自社の競合で働く」とか、「情報漏えい」などはもちろんNG。健康や倫理に反さない範囲での副業を考える必要があります。

一言に副業といっても色々なものがあります。株式投資や不動産投資も副業といえば副業になりますが、ここでは労働によって収入を得るものに絞ってお話をしていきたいと思います。

また、複数の会社にまたがって「就職」をすると社会保険料や住民税など計算が複雑になり、所属する会社の人事や労務にも負担になります。そこで、会社員が行える副業ということに絞ってお話をしていきます。

開業届は簡単に出せる

「副業なんてやったことがないし、、、手続きも面倒そう」と思われるかもしれませんが、個人事業主として登録するだけで始められるので、お近くの税務署にいって「開業届」をだせば終わりです。この開業届は、どのような業態で仕事をするのか書いてだすだけですので、非常に簡単です。

開業届けを出すのは、基本的には開業から1ヶ月以内と言われています。また、開業届と同時に「青色申告承認申請書」を提出することで、開業初年から節税効果の高い青色申告を行うことができるようになります。青色申告の申請は開業した年の3月15日までに申請する必要があります。

始めやすい副業あれこれ

簡単な副業は、いわゆる「アルバイト」です。空いた時間にアルバイトをするのですが、会社員をしながらだと拘束時間が長かったり、自分の自由な時間で行うことができないものは難しいでしょう。

始めやすい副業に家事代行やUberEatsの配達、ミステリーショッパーもありますが、自宅でできるもののほうがコロナ禍には適していると思います。

例えば、
・データ入力や文字起こし
・商品レビューを書く
・WEBライター
・翻訳、
・ブログ
・せどり
・YouTuber
・サイト開発(デザイン、Wordpress、プログラミングなど)
・動画編集
・アプリ開発

などです。

自分の好きそうなものを選ぶ

なにか自分の得意そうなものや、好きなことで、学びながら価値提供できることを増やしていくと良いでしょう。ここで、非常に重要なポイントは「好きそうなこと」であることです。

好きこそものの上手なれと言いますが、通常の会社員としての労働に加えて副業をすることが「苦役」であれば続くはずがありません。誰に強制されるわけでもない副業こそは、自分のやりたいこと、得意なこと、好きなことを選んで見るとよいと思います。やってみて「これは合わない」というこであれば無理に続ける必要はありません。

この会社員でありながら、副業している状態は、完全に独立してフリーランスや会社を立ち上げることと比べても様々な恩恵にも預かれます。

フリーランスとの違い

完全にフリーランスで独立すると

・厚生年金がなくなる
・傷病、労災なくなる
・ローンの審査が通りづらくなる
・クレジットカードがつくれないことがある
など不利な状態になることがあります。会社員はこのあたりの社会保険や信用を担保されていることになります。

収入から必要経費や控除などを引いたものが「所得」と言われます。会社員では給与天引きで税金もひかれるので対策が難しい税金も、個人事業主の副業収入では「経費」や「青色申告控除」などを使うことで税金対策をすることもできます。

経費が使える!

会社員がつかえないのが、この「経費」です。個人事業主になると、売上を上げるために必要なコストとして経費を使うことができます。プログラマーとして独立するのであればパソコンなどは明確に経費になります。また自宅で業務をした場合も家賃や光熱費の一部も合理的な範囲で経費にすることができます。

また、複式簿記で細かく売上や経費を管理して確定申告することで青色申告控除をうけることができます。この青色申告は、最大65万円の控除となり節税効果が大きいのが特徴です。

青色申告控除とは

所得は10種類に区分されます。

この内、青色申告の対象になるのは以下の2つになります。
・事業所得
・不動産所得

不動産所得は不動産による収入がある人が対象になります。事業所得は、その名のとおり「事業」を通じての所得なのですが、事業と認められるように継続的に収入があることやある程度の売上がたっているなどが条件になります。自分の所得が青色申告の対象にできるかは税理士などの専門家に確認されると良いでしょう。

副業をはじめたら

副業をはじめたら、事業の収入と経費支出を家計とわけて管理すると良いでしょう。具体的には給与が入ってくる口座と、個人事業で得られる収入の口座をわけることと、クレジットカードもできれば分けて管理することです。

個人事業主になりたてでは、支出が「家計」なのか「事業」なのか不明確になってしまい、事業としての採算が合っているのかが分からなくなってしまいがちです。

ちゃんと利益を管理していくためにも、口座を分けて管理できる仕組みを最初に作っておくことをお薦めしておきます。
マネーフォワード確定申告や、その他の確定申告用のクラウド会計ソフトは色々とでているので、ご自身にあった管理方法を確立されると良いと思います。

また、「家事按分」という、いわゆる生活にかかる支出と、事業にかかる支出が混ざっている部分があります。例えば、家で個人事業もしている場合は、家の中で仕事として活用しているスペースの家賃分や、光熱費、通信費は経費にすることができます。ここも税務調査などが入っても「合理的に説明できる」ことが大前提になりますので、税理士などの専門家と相談されると良いでしょう。

甘い話に騙されない

副業を始めようとすると、「甘い話」が色々と舞い込んできます。

・絶対に得する必勝法
・3ヶ月で月に100万円稼げる方法
などのセミナーは乱立しています。

高い情報商材やサロン加入に騙されないように気をつけることも大切です。まずは、始めたい副業に関連する本を2、3冊読み、基礎知識をつけるとともに、コストのかからないことから少しずつ経験を積んでいくことが大きく失敗しないコツだと思います。どちらにしても、甘い話には騙されないようにしましょう。

副業解禁の政府の方針が出ても、まだまだ副業を実行出来ている人は少ないといわれています。この記事を読んで「副業を考えたい」と思っている人の中でも、「実行できるる」人は1%にも満たないのではないでしょうか。

まずやってみることで、スタートダッシュから差をつけられると思います。会社員で社会的な信用を担保しながら、副業により新たな収入を得て、さらに節税などの仕組みと取り入れる副業という新たな扉を開いてみてはいかがでしょうか?

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