新型コロナの早期診断に役立つ「簡易臭覚確認キット」を順天堂大などが開発

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順天堂大学と第一薬品産業は3月19日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の早期診断に役立つ「簡易臭覚確認キット」を開発し、予約の受付を開始したことを発表した。発売は4月12日を予定している。

同成果は、順天堂大大学院 医学研究科 耳鼻咽喉科学講座の池田勝久主任教授と第一薬品産業の共同研究チームによるもの。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)への感染による嗅覚障害は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が始まった当初から主な神経学的症状として報告されてきた。その発症率は報告によって幅があるが、80%以上という多くの症例で嗅覚に対する変化が生じていることが明らかになってきている。また、肺炎などのような全身の明確な病状の程度に関わらず嗅覚障害は生じる可能性があるため、SARS-CoV-2への感染を診断する際には、嗅覚が普遍的な標的であるといえるという。

新型コロナウイルス感染症の嗅覚障害の特徴は、以下のことなどが主に知られている。

1. 突然に発症する
2. 咳、発熱、咽頭痛、倦怠感などの症状と同時またはそれ以前に生じる
3. PCR検査陽性の前に生じる
4. インフルエンザ感染症、感冒、花粉症などによる嗅覚障害と異なり、鼻閉(鼻づまり)や鼻漏(鼻水)などの他の鼻症状を伴いにくい
5. 主観的自己報告よりも客観的嗅覚検査で検出率が高い
6. 全身症状の重症度に関わらず生じる
7. 無症状感染者の唯一の症状になること

この中でも、特に3の検温やPCR検査の結果に先行して嗅覚障害が生じることは、早期診断に応用可能な重要な所見だという。

また、嗅覚障害だけの無症状感染者が報告されている一方で、軽度の嗅覚障害は自覚されにくいことから、客観的な嗅覚検査が嗅覚障害の早期診断に有用であり、嗅覚チェックによって無症状感染者の発見の一助になることが期待されるという。

今回開発された「簡易嗅覚確認キット」の特徴は、ニオイ物質の種類と濃度にある。鼻腔には、鼻の中の感覚を脳に伝える「三叉神経」が存在しており、ある種の刺激性物質によって生じた“鼻につんとくる感覚”を、嗅覚と錯覚してしまうことがある。

そのため、簡易嗅覚確認キットが開発されるにあたって、キットに用いるニオイの種類を決定する上で、嗅覚のみを刺激するニオイ物質が選択された。簡易嗅覚確認キットでは、三叉神経刺激のない合成単一香料であり、青りんご様の香りがする「Verdox」もしくはカラメル様の香りがする「Sotolone」が使用されている(2種類の香りから選べる)。

開発の過程で20代から80代の健常者にVerdoxとSotoloneを種々の濃度で嗅いでもらい、ニオイを感じる最小の濃度(しきい値)が検討された。その結果、50歳を境として閾値に相違があることが判明。2種類の香りそれぞれに対し、50歳未満用(低濃度)と50歳以上用(高濃度)が用意され、合計4種類が販売される。また、50歳未満用と50歳以上用で、2種類の香りをセットにした2本セットも販売される。

簡易嗅覚確認キットの使用方法は、以下の通り。

1. ボトルのキャップを上に開ける
2. 本体中央部を親指および人差し指、中指で押し込みボトル内部の空間に含まれるニオイ(物質)を押し出す
3. 鼻から3cmほどの距離でニオイを嗅ぐ
4. ニオイがするかどうかをセルフチェック(ニオイがわからない場合、嗅覚異常の疑いがある)

1キットで複数回、検温のような感覚で数か月間に渡って利用することが可能だ。そのため、早期に嗅覚の異常に気づき、PCR検査や自己隔離の目安とすることができるという。

また簡易嗅覚確認キットの組成・性状(仕様)は以下の通りだ。

  • 質量:約12g〔以下のニオイ成分(1g)を含めた脱脂綿をボトル内に封入〕
  • 包装:プラスチックボトル(PE)、プラスチックキャップ(PP)、製品表示ラベル(紙)
  • 有効期限:開封後3か月または製造から1年以内(ラベルに記載)
  • 製品の種類:4種類
  • 価格:4種類すべて1本1650円、2本セット(高濃度セットおよび低濃度セット)ともに1セット2750円

予約販売は第一薬品産業の製品情報サイトにおいて行われている。なお、送料は価格に含まれるとのことである。