【東京五輪】緊急事態宣言解除で組織委が恐れる「不測の事態」

組織委・橋本聖子会長(代表撮影)

一筋縄ではいかなそうだ。東京五輪・パラリンピック組織委員会は22日に都内で理事会を開催し、海外ボランティアの受け入れを基本的に見送ると明らかにした。20日には海外観客の受け入れも断念するなど、大会の概要が決まりつつある一方で、組織委内部からは“不測の事態”を恐れる声が漏れている。

新型コロナウイルス感染症対策で海外観客や海外ボランティアの入国を断念したためチケット収入やインバウンド需要の減少は避けられないが、かねて橋本聖子会長(56)は「安心・安全な大会を実現する」と明言。武藤敏郎事務総長(77)も「我々の増収努力、歳出削減の努力でカバーしきれない。その場合は国、都、組織委でチケット収入の不足分をどう負担するか議論することになる」と話していたように、経済面や収支面のマイナスは承知の上で“ウィズコロナ”の運営計画がつくられている。

そんな中、首都圏の1都3県に出されていた緊急事態宣言が22日に解除された。25日には聖火リレーも始まるため、五輪・パラ開催に向けた機運が高まってきた。しかし、ある組織委関係者は「宣言は解除されたが、例えば東京で1日1000人以上の感染者が出たときにどうするのだろうか」と危惧する。さらに昨年は3月下旬からコロナの感染拡大が本格化した。同関係者は「すごく嫌な話をすると1年前のことを思い出してしまう。3月から4月にかけてどんどん増えていって1回目の緊急事態宣言が出た」と表情を曇らせる。

今後、各都市で人出が増加するのは確実。変異株への感染が増加し、感染拡大の第4波も懸念されるが、組織委の現場でも不安を隠せないのだ。本当に開催できるのか、まだまだ光明は見えていない。

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