藤沢市と二宮町に津波災害警戒区域 神奈川県が指定

県内沿岸15市町の津波災害警戒区域の指定状況

 県は22日、藤沢市と二宮町に津波災害警戒区域を指定した。両市町では今後、最大級の津波が押し寄せた場合の水位を考慮したハザードマップの作製や要配慮者利用施設の避難計画づくりなどが進められる。県内の警戒区域はこれで小田原市などを含む5市町に拡大した。

 県によると、区域の面積は藤沢市が4.8平方キロ、二宮町は0.4平方キロ。既に県が公表済みの津波浸水想定の範囲と同じだが、区域指定に伴い、津波が建物にぶつかった際の上昇分を加味した「基準水位」が10メートル四方に区切ったますごとに示された。

 藤沢市の基準水位は江の島で10メートルを超える地点があるほか、片瀬海岸や鵠沼海岸の川沿いに4メートル前後となるエリアが広がっている。市は「津波避難ビルの再検討や地域ごとの避難マップの検討」などを指定後の取り組みに挙げている。

 一方、二宮町は浸水範囲がおおむね海岸付近にとどまるものの、一部で国道1号付近に及び、基準水位が8メートル前後に達する地点も示された。町は「隣接する小田原市と合同の避難訓練などを通じ、効果的な対策を目指す」考えだ。

 津波災害警戒区域は、東日本大震災を受けて制定された津波防災地域づくり法に基づき、都道府県が指定する。

 県内沿岸で対象となる東京湾、相模湾沿いの15市町のうち、小田原、真鶴、湯河原の3市町がモデル地域として2019年12月に指定されている。第2弾となる今回の指定作業で大磯町も加わる予定だったが、新型コロナ特措法の緊急事態宣言で住民説明会が開けなかったため、4月以降に見送られた。県は今後も地元市町の意向を踏まえ、他の沿岸市町にも指定区域を広げる方針だ。

 区域の指定を受けた市町村は、ハザードマップ作製のほか、基準水位を考慮した避難施設の指定などを実施。区域内に立地する学校や病院、福祉施設などは避難確保計画の策定と訓練の実施が義務付けられる。土地利用に新たな規制はかからないが、区域内の不動産取引では宅地建物取引業法に基づく重要事項説明が必要になる。

 警戒区域は県のウェブサイトで閲覧できる。

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