アッヴィ、国内において「ベネクレクスタ(R)」の急性骨髄性白血病に対する適応追加承認を取得

2021年3月23日
アッヴィ合同会社

アッヴィ、国内において「ベネクレクスタ(R)」の急性骨髄性白血病に対する適応追加承認を取得

●急性骨髄性白血病(AML)は、悪性度が高く、治療困難な血液がんの1つで、AML患者さん全体の5年生存率は28.7%1, 2
●ベネクレクスタ(R)は、日本でこれまで標準治療法が限られていた未治療のAML患者さん(強力な化学療法が適応とならない初発の成人患者さん)にとって新たな治療選択肢
●AML患者さんを対象に実施した、ベネクレクスタ(R)とアザシチジン併用および低用量シタラビン併用の国際共同第Ⅲ相試験のデータを基に承認3,4
●今回承認を取得したAML、ベネクレクスタ(R)ですでに承認されている再発/難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)および小リンパ球性リンパ腫(SLL)に続く、新たな適応症

アッヴィ合同会社(本社:東京都港区、社長:ジェームス・フェリシアーノ)は本日、経口BCL-2阻害薬ベネクレクスタ(R)(一般名:ベネトクラクス、「以下、ベネクレクスタ」)について、国内における急性骨髄性白血病(AML)の適応追加承認を取得しました。ベネクレクスタは、BCL-2と呼ばれる体内の特定タンパク質を標的とする経口BCL-2阻害剤で、がん細胞で失われてしまったアポトーシスというがん細胞の自然死または自己破壊の過程を回復させる作用があります。今回の承認により、ベネクレクスタは、強力な化学療法が適応とならない初発のAML患者さんにとって、新たな治療選択肢となります。また、ベネクレクスタにとって、AMLは再発/難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)および小リンパ球性リンパ腫(SLL)に続く、新たな適応症となります。

AML は悪性度が高く、治療困難な血液がんの1つで、1,2治療法やケアの進歩にもかかわらず、AMLと診断された患者さんの5年生存率は約28.7%にとどまっています5。現在、全世界で16万人がAMLを有し、10万人当たりの新規発症数は103人と推定されています6。本邦におけるAMLの総患者数は、約7,000人と報告されています7。

日本では、強力な寛解導入療法の適応とならない未治療のAMLに対する標準治療法が限られており、低用量シタラビンが治療に用いられています。60歳以上のAML患者さんのうち、治癒を目指す強力な化学療法を行うことのできる患者さんは約3分の1に過ぎません8。 今回の承認によって、強力な化学療法を受けることができない初発のAML成人患者さんにとって、ベネクレクスタは新たな治療選択肢となります。

今回の適応追加承認は、ベネクレクスタについて実施された2つの多施設無作為化国際共同試験のデータに基づいています。

【第Ⅲ相VIALE-A(M15-656)試験】
強力な化学療法が適応とならない、未治療のAML患者さんを対象に、プラセボ/アザシチジンと比較し、ベネトクラクス/アザシチジン併用療法は主要評価項目の全生存期間(OS)および複合完全寛解率(CR+CRi)において、統計的に有意な改善を達成しました3。ベネトクラクス/アザシチジン群では、プラセボ/アザシチジン群と比較して、死亡リスクが34%減少しました【ハザード比(HR):0.66、95%信頼区間(Cl):0.52~0.85、p=0.001】。OS中央値は、プラセボ/アザシチジン群の9.6カ月に対し、ベネトクラクス/アザシチジン群は14.7カ月でした。CR+CRiは、プラセボ/アザシチジン群の28.3%に対し、ベネトクラクス/アザシチジン群は66.4%でした3。

【第Ⅲ相VIALE-C(M16-043)試験】
強力な化学療法が適応とならない、未治療のAML患者さんを対象に、プラセボ/低用量シタラビン(LDAC)と比較し、ベネトクラクス/LDAC併用療法の統計的な有意差は示されませんでしたが、ベネトクラクス/LDAC群では、プラセボ/LDAC群と比較して、死亡リスクが25%減少しました【ハザード比(HR):0.75、95%信頼区間(CI):0.52〜1.07、p=0.11】。またOS中央値は、プラセボ/LDAC群の4.1カ月に対し、ベネトクラクス/LDAC群では7.2カ月でした4。6 カ月間の追加追跡調査期間後に実施した事後解析による OS 中央値はプラセボ/LDAC群で 4.1 カ月、ベネトクラクス/LDAC 群では8.4 カ月の延長が認められました(HR:0.70、95% CI:0.50〜0.99)4。

経口BCL-2阻害剤のベネクレクスタは、米国食品医薬品局(FDA)から5つの画期的治療薬(ブレークスルー・セラピー)の指定を取得しています9,10,11,12,13。ベネトクラクスとアザシチジン、デシタビンまたはLDACとの併用療法は、75歳以上または併存疾患により強力な寛解導入療法が適応とならない、初発のAML成人患者さんに対する治療薬として、2018年にはFDAによる迅速承認を受け、その後2020年10月には完全承認を取得しています。

ベネクレクスタは日本において、再発/難治性のCLLまたはSLLに対する治療薬として、2019年9月に製造販売承認されました。2020年6月24日には、AMLに対する希少疾病用医薬品指定を厚生労働省より取得しました。

ベネトクラクスについて
ベネトクラクスはB細胞リンパ腫2(BCL-2)タンパク質に対し、選択的に結合および阻害するファーストインクラスの薬剤です。一部の血液がんでは、BCL-2がアポトーシスと呼ばれるがん細胞の自然死または自己破壊の過程を阻止します。ベネトクラクスは、BCL-2タンパク質を標的とし、がん細胞により失われたアポトーシスの過程を回復させる作用があります。
ベネトクラクスは、アッヴィとロシュ社が開発を行っています。米国ではアッヴィとロシュグループの一員であるジェネンテック社が共同販売しており、米国以外ではアッヴィが販売しています。これら数社の共同でBCL-2研究に取り組んでおり、種々の血液がんおよび他のがんを対象に、複数の臨床試験においてベネトクラクスを評価しています。ベネトクラクスは、米国を含め50を超える国で承認されています。

がん分野におけるアッヴィについて
アッヴィでは、複数の血液がんの標準治療の変革に取り組むとともに、多様ながん種に対する治験
薬の開発を積極的に推進しています。献身的で経験豊富な当社のチームは、革新的なパートナー
と協力し、画期的新薬となり得る製品の開発促進に努めています。当社は、世界で最も罹患者が
多く、また最も消耗性が高いがん種に対し、20 種類を超える治験薬を 300 件超の臨床試験で評価しています。当社の事業の目的は、人々の人生を豊かにすることです。そのため、患者さんが当社のがん治療薬にアクセスすることができるよう、ソリューションの探求にも取り組んでいます。詳細については、http://www.abbvie.com/oncology をご覧ください。

アッヴィについて
アッヴィのミッションは現在の深刻な健康課題を解決する革新的な医薬品の創製と提供、そして未来に向けて医療上の困難な課題に挑むことです。患者さん一人ひとりの人生を豊かなものにするため次の主要領域に取り組んでいます。免疫疾患、がん、神経疾患、アイケア、ウイルス、ウイメンズヘルス、消化器疾患、さらにアラガンエステティクスポートフォリオの製品・サービスです。アッヴィの詳細については、www.abbvie.com をご覧ください。Twitterアカウント@abbvieFacebookLinkedInInstagramでも情報を公開しています。

日本においては、1,300人を超える社員が、医療用医薬品の開発、輸入、製造販売に従事しています。自己免疫疾患、新生児、肝疾患、神経疾患、がんの各領域を中心に、患者さんの人生を豊かにしたいと願い、日々の業務に取り組んでいます。詳しくは、www.abbvie.co.jpをご覧ください。

1.Döhner H, et al. Acute myeloid leukemia. N Engl J Med. 2015;373(12):1136-1152.
2.American Cancer Society (2018). Typical Treatment of Most Types of Acute Myeloid Leukemia (Except Acute Promyelocytic M3). https://www.cancer.org/cancer/acute-myeloid-leukemia/treating/typical-treatment-of-aml.html.
3.DiNardo, C.D., Jonas, B.A., et al. A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Study of Venetoclax With Azacitidine Vs. Azacitidine In Treatment-Naïve Patients with Acute Myeloid Leukemia Ineligible For Intensive Therapy: The Phase 3 VIALE-A Trial. (2020).
4.Clinicaltrials.gov. NCT03069352: A Study of Venetoclax in Combination With Low Dose Cytarabine Versus Low Dose Cytarabine Alone in Treatment Naive Patients With Acute Myeloid Leukemia Who Are Ineligible for Intensive Chemotherapy.https://clinicaltrials.gov/ct2/show/results/NCT03069352. Accessed February 28, 2020.
5.National Cancer Institute (2018). Acute Myeloid Leukemia - SEER Stat Fact Sheets. https://seer.cancer.gov/statfacts/html/amyl.html.
6.Puty, T.C., Sarraf, J.S., Do Carmo Almeida, T.C. et al. Evaluation of the impact of single-nucleotide polymorphisms on treatment response, survival and toxicity with cytarabine and anthracyclines in patients with acute myeloid leukaemia: a systematic review protocol. Syst Rev 8, 109 (2019).
7.厚生労働省患者調査(平成29年)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/10syoubyo/
8.Texas Oncology (2018). Acute Myeloid Leukemia Consolidation. https://www.texasoncology.com/types-of-cancer/leukemia/acute-myeloid-leukemia/acute-myeloid-leukemia-consolidation.
9.Farrell A. Grant-Breakthrough Therapy Designation (CLL). Department of Health and Human Services. 2015:1-3.
10.Farrell A. Grant-Breakthrough Therapy Designation (CLL). Department of Health and Human Services. 2015:1-3.
11.Farrell A. Grant-Breakthrough Therapy Designation (AML). Department of Health and Human Services. 2016:1-3.
12.Farrell A. Grant-Breakthrough Therapy Designation (AML). Department of Health and Human Services. 2017:1-3.
13.Farrell A. Grant-Breakthrough Therapy Designation (CLL). Department of Health and Human Services. 2019:1-3