支援に感謝、学び続ける 豪雨被災の人吉市の花田さん(69)、放送大卒業

©株式会社熊本日日新聞社

放送大熊本学習センターの卒業式で学位記を手に記念写真に納まる花田淳さん=21日、熊本市中央区

 昨年7月の豪雨で被災した人吉市の花田淳さん(69)が21日、通信制の放送大を卒業した。大学は被災後も学び続けた姿勢を評価。熊本学習センター(熊本市中央区)の卒業・修了生約40人の代表として、式で答辞を述べる機会をつくった。

 人吉高から大阪府の専門学校に進学。建設関連の会社員などをしていたが、1人暮らしだった母親を介護するため2006年に帰郷した。12年に母親が死去。「介護や福祉について学びを深めたい」と12年4月に放送大へ入学した。

 母親の死去後、1人で住んでいた人吉市温泉町の自宅は浸水で大規模半壊。教材やパソコンなども失った。避難所の人吉スポーツパレスに約4カ月身を寄せた後、昨年11月からは、市内の村山公園仮設団地で仮住まいしている。

 一方、専攻していた「生活と福祉コース」の学習は昨年9月、被災した自宅の倉庫で再開。くじけそうになった時は自宅の泥出しなどを手伝ってくれたボランティアの温かさを思い出し、「自分も頑張らなん」と気持ちを奮い立たせた。

 卒業式には、支援物資だったデニム生地のジャケットを着て出席。現在は人吉市社会福祉協議会のアルバイトとして生活困窮者らを支援しており、答辞では「地域社会の積極的な奉仕者として生涯を全うしたい」と誓った。

 式後、花田さんは生計を立てながら学んだ9年間を振り返り、「進学や就職で達成感を感じたことはほとんどなかったが、この節目は誇らしい気持ちで迎えた」と話した。4月からは「人間と文化コース」に移って生涯学習を続ける。

 花田さんを見送った放送大熊本学習センターの古島幹雄所長は「学びたいという強い意志さえあれば、いつでも誰でも学べるという放送大学の理念を体現された」とたたえた。(隅川俊彦)

熊本日日新聞 2021年3月22日掲載