唐沢寿明が「24 JAPAN」クランクアップ。「小さなことでも何か努力しながら生きていきたい」

唐沢寿明が主演を務める、テレビ朝日系連続ドラマ「24 JAPAN」(金曜午後11:15)が3月26日に最終回を迎える。1年にもおよぶ撮影で主人公・獅堂現馬を演じてきた唐沢も、ついにクランクアップ。長い撮影の日々を振り返り、胸に秘めた思いを語った。

同ドラマは、1シーズン(全24話/24時間)をかけて1日の出来事をリアルタイムで描く革新的なスタイルで、アメリカ連邦機関CTU(テロ対策ユニット)の捜査官、ジャック・バウアー(キーファー・サザーランド)が凶悪なテロ事件と戦う姿を描いた世界的大ヒットシリーズ「24」(邦題:「24-TWENTY FOUR-」)の史上初となる日本版リメーク。本作では、“日本初の女性総理”誕生への期待が高まる総選挙当日の24時間を克明に描写。唐沢を中心に、豪華キャスト陣が毎回思わず手に汗握るリアルタイムサスペンスを展開している。

「大河ドラマでクランクアップした時も『あと2、3年できそうだよな』って思いましたけど、実は今も終わった感じがあまりしないんですよ。長期間の撮影に慣れていて、まだ体が元気だからかな?(笑)」と、すべての撮影が終わった 後でも余裕を見せる唐沢。「全編を通して追い詰められる役ではありましたけど、現馬はそういう状況に追い込まれる仕事をしている人間ですから大丈夫でした。逆に一般の人なのに、巻き込まれてしょっちゅうさらわれ、殺されかける現馬の奥さんと娘を演じた木村多江さんと桜田ひよりさんの方が、大変だったんじゃないかなと思いますね」とハードな撮影に挑んだ女性陣をねぎらった。

撮影が始まった頃、唐沢が「普通の男」と表現していた現馬を演じきり「今でも、彼はやっぱり普通の男だと思いますね。『24 JAPAN』の基になったオリジナル版のシーズン1も家族の話が中心で、テロリスト側の事情にもその骨組みが存在しているんです。そういう物語だからこそ、分かりやすい迫力はない。そんなこともあって、日本語吹き替え版では迫力を足すために、勇ましい声を採用していたんじゃないかと思うんですよ。だから、その印象のまま今回の『24 JAPAN』を見てくださった方々は、ちょっと『うん?』と思われたかもしれません。でも実際、キーファー・サザーランドさんもシーズン1ではしょっちゅう叫ぶわけでもなく普通の男を演じてらっしゃいました」と終始一貫したものだったと明かした。

世界的なヒット作のリメークということで、本作を「これまでで一番難しいと感じた作品」と表現した唐沢。「当然だけど、オリジナル版と同じようにはできないですし、そもそもやると決めた時点で賛否両論あることは覚悟していましたから。なにせオリジナル版は世界的に大ヒットした作品で、ほかのリメークとはちょっと次元が違いますからね。根強いファンもたくさんいますし、オリジナル版と比べて物申したい人もいるのは当然だと思うんです。そういう意味ではハードルが高すぎる! でも、それほどの作品だからこそ面白いし、挑戦しがいがありました。僕はそういう“0か100かの賭け“で勝負する“自分との戦い”が好きなんですよ」と、どこか晴れやかな様子で振り返った。

また、「自分自身のことはあまり考えていなかったですね。全体的に作品を見て『今週、面白かったな』と思ったり…その繰り返しでした。そもそも僕は自分をどう見てほしいとか、どう評価してほしいとか思っていなくて、うまく自分の役が作品の世界に入っていればいいんです。実際『24』や『24 JAPAN』の脚本もそういうスタンスで書かれていて、1シーンしか出てこない役でもすごく生きている! そういう全体としての描写の仕方は、僕たち日本人もどんどん学んで、トライしていけたら面白いと思いました」とこれからの作品に生きる気付きがあったことも語った。

そして、そうした重圧を背負いながら1年の長丁場に挑み、「脚本の読み方や、監督に意見を言う時の姿勢は、少し変わってくるんじゃないかと思います。無理難題を言っても仕方ないのだけれど、少なくとも与えられた枠の中で『こうした方が面白くなるんじゃないか』と考えながら臨むべきだな、と。だって、『まぁ、こんなもんだろう』と惰性で臨むのはいやじゃない? 評価されるかどうかは別にして、小さなことでも何か努力しながら生きていきたいですしね。そうやって今後の作品にも取り組んでいきたいと、あらためて思いました」と得るものが多い作品となったようだ。

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