商業地に明暗 三宮にコロナ直撃、阪神は堅調 兵庫の公示地価

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新型コロナウイルスの影響で一帯の地価が大幅に下落した東門街=神戸市中央区中山手通1(撮影・大森 武)

 2021年の兵庫県の公示地価(1月1日時点)は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、観光地の入り込みや繁華街の人通りが激減した神戸地域などの商業地が下落に転じた。一方で、阪神地域の商業地はマンション需要の堅調を受けてプラスを維持。近年、上昇傾向にあった都市部で明暗が分かれた。

 若者や地元客らが行き交う神戸・三宮センター街。昨年末以降、売り場面積が関西最大級だったアパレル大手のGAP(ギャップ)や、訪日客の人気を集めたドラッグストアなどが相次いで撤退した。買い物に訪れた西区の主婦(66)は「空き店舗が増えてさみしい」と話した。

 8年ぶりに下落に転じた神戸市では、中央区の対前年比4.9%減が目立つ。中でも三宮センター街にある中央区三宮町は、価格こそ10年連続で県内トップだが、同9.7%減。飲食店が立ち並ぶ東門街がある中央区中山手通の下落率は県内最大の13.1%だった。

 兵庫県土地対策室は「訪日観光客が多く、ホテルが集積する場所ほど下落している」と分析。大都市圏で同様の傾向が見られ、大阪・ミナミは3割近く落ち込んだ。県不動産鑑定士協会の尾崎潤副会長は「神戸は大きな下落ではなく、現時点の県内経済への影響は分からない」とする。

 三宮では4月、阪急神戸三宮駅直結の「神戸三宮阪急ビル」が開業するなど、都心部の再整備が本格化する。一方、JR三ノ宮駅の新ビル計画地はさら地のままで、周辺の商店主は「民間の投資意欲に影響が出ないか」と心配する。

 上昇幅は縮小したものの、プラスで推移しているのが阪神間の商業地だ。

 商業地の上昇率上位はトップのJR芦屋駅前の兵庫県芦屋市業平町(5%増)をはじめ、全て阪神地域だった。JR伊丹駅近くに住む会社員の男性(42)は「大阪からのアクセスもよく、子育てや買い物もしやすい環境」と評価する。

 阪神北地域担当の不動産鑑定士中村要さん(51)は「宝塚や伊丹の商業地は海外の観光需要に依存していない。主要駅前でのマンション需要も落ちず、コロナの影響を受けにくかった」としている。(石沢菜々子、中川恵、久保田麻依子、名倉あかり)