生活支援広がる輪 高齢化進むグリーンハイツ

 少子高齢化が顕著な横須賀市南部の大規模マンションに、住民主体で生活支援サービスに取り組む有償ボランティアグループがある。体の不自由な高齢者らの依頼を受け、ごみ捨てや掃除、買い物などを代行。近所付き合いの延長で利用できる気軽さもあって、会員数を増やしている。

  京急長沢駅前に広がる「湘南長沢グリーンハイツ」。1100世帯に迫るマンモス住宅群で支え合いの仕組みづくりを進めるのは、有償ボランティア「ゆいの広場」(石塚千津子代表、会員73人)だ。

 「友達に頼む感じでお願いできるので、安心して任せられる。ベッドで横になっていても大丈夫」。エレベーターのない建物の4階に住む74歳の女性は足腰に不安があり、不定期で掃除やごみ捨てを依頼。ともに居住者同士、サービス後の会話にも花が咲く。

 2013年春に市の市民協働推進補助金事業としてスタート。利用者もボランティアも年会費千円ずつ納める会員制を採る。石塚代表は「元気なうちに高齢者の役に立ち、年を取ったら今度は手助けしてもらう。住民同士、対等な立場で支援したい」と話す。

 朝のごみ出しや買い物の代行・付き添い、掃除や簡単な料理などの家事代行まで支援内容は多岐にわたる。利用料は1時間500円。マンション内の移動は最大でも10分程度のため利用者の希望に応えやすく、会員数は3年間で3倍に増えた。

 同ハイツでは1970年代半ば以降、5階建てを中心に約40棟が分譲された。96年には町名も長沢、津久井の両町から切り離され、「グリーンハイツ」として単独のものとなった。一方、築40年前後の建物では独居高齢者が増加。民間企業の社宅の撤退も重なり、極端に子どもが減っていったという。

 市が公表した住民基本台帳に基づく同町の人口(2015年10月1日現在)は2397人で、10年前の4分の3まで減少した。15歳未満人口を100とした場合の65歳以上人口の割合を表す「老年化指数」も636・47。市平均(251・34)を大きく上回り、市内全112町で最も高い。

 石塚代表は「住民同士が多くの人とつながることで(全体が高齢化しても)住みやすい環境にできるはず」と、活動の広がりに期待を寄せている。

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