山下泰裕会長が勧告案放置問題を釈明 全柔連のスタンスは“終わった話”

会見を開いた山下会長(右)と中里専務理事

全日本柔道連盟(全柔連)のコンプライアンス委員会が、ガバナンス(統治)欠如により愛知県連盟体制刷新を求める勧告書を作成したにもかかわらず、山下泰裕会長(63)が口頭での「注意喚起」のみにとどめ、勧告案を放置していたことが発覚。この問題を受け23日、山下会長と中里壮也専務理事が東京・講道館で取材に応じた。

勧告案で執行部の交代を求められていた愛知県連の河原月夫会長に対し、勧告書を出さなかったことについて山下会長は「都道府県柔道連盟に対しての手続きは配慮が必要。全柔連の下部組織ではなく独立した組織なので自立性が認められるべき」と、勧告書を出すよりも面と向かって反省を促す必要があるとの考えがあったことを明かした。

この今年1月の面談で河原会長が非を認めない場合は理事会にはかることも考えていたということだが、一連の経緯の理報告はしていなかった。これに関して中里専務理事は「(山下)会長の直々の申し入れを真摯に受け止めて謝罪の言葉があったので、次のステップに進まなかったということ。一応の成果があったので報告しなかったが、今考えると報告した方が丁寧な対応だったかもしれない」と話した。

また山下会長は「愛知に行く前も行った後もコンプライアンス委員長に報告してご理解をいただいている」とコメント。コンプライアンス委員会もすでにこの件に関しては終了するとしており、これに対し異論も出ていないため、全柔連としてはすでに終わった話との考えのようだ。

愛知県連の河原会長は2018年6月、および19年6月に小学生大会で親族の子供が敗戦した結果を不服とし審判に暴言を吐いたことで、全柔連から会員停止10か月の懲戒処分を受けたものの、その後も県連会長職にとどまっていた。また不明朗な支出が増えるなど、運営上の問題も指摘されていた。

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