阪神ドラ1佐藤輝は「最低20発打つ」…でもV厳しい? プロ21年の元捕手がセ順位予想

広島・栗林良吏、阪神・佐藤輝明、巨人・菅野智之(左から)【写真:荒川祐史】

ヤクルトなどで捕手として通算21年間活躍した野口寿浩氏がズバリ!

26日にプロ野球のペナントレース開幕が迫っている。セ・リーグでは、安定した戦いぶりで2連覇中の巨人に、DeNAからFA移籍で梶谷隆幸外野手が加わった。阪神はドラフト1位ルーキーの佐藤輝明内野手がオープン戦で12球団最多の6本塁打を量産し、期待が高まっている。現役時代にヤクルト、日本ハム、阪神、横浜(DeNA)で捕手として21年間活躍した野口寿浩氏は「2強」中心の展開を予想し、セ6球団の順位を占った。

1位 巨人
2位 阪神
3位 広島
4位 中日
5位 DeNA
6位 ヤクルト

「メジャー移籍を目指していた菅野(智之)の残留と、梶谷の加入が非常に大きい」と巨人について語る野口氏。梶谷は昨季リーグ2位の打率.323をマークするなど、プロ14年間で最高の成績を残した。「1番に定着して昨季並みか、それに近い成績を残せば、巨人のリーグ3連覇は揺るぎないものになる」とみる。

楽しみなのが阪神だ。昨季2位に躍進したのに加え、新人の佐藤輝がオープン戦で本塁打を連発。「佐藤輝は打率の方は読めないが、最低20本塁打は行く」と野口氏は評価している。戦力的に見て、巨人に対抗できるのは阪神しかない。

それでも、16年ぶりの優勝までは予想しづらい理由は、巨人との直接対決での弱さにある。昨季8勝16敗の“ダブルスコア”で、2008年以降13年連続で勝ち越せていない(2009、10、11年は5分)。「これだけ分が悪いと、巨人は常に“上から目線”で戦え、逆に阪神は平常心を保つことが難しくなり、ピンチでエラーが出る悪循環に陥りがち」と指摘する。

広島はルーキー3投手がハマれば「2強に近づく可能性」

広島は守護神として期待していたヘロニモ・フランスア投手が右膝を手術し、長期離脱を見込まれるのが痛い。ドラフト1位ルーキーの栗林良吏投手が当面抑えを任される。野口氏は「栗林、ドラフト2位の森浦(大輔)、3位の大道(温貴)の新人3人で抑えとセットアッパーを占める可能性もある。不安が大きい半面、これがハマれば2強に近づく可能性も出てくる」と言う。ルーキーが鍵を握ることになりそうだ。

中日は昨季、沢村賞を獲得した大野雄大投手の活躍と、祖父江大輔、福敬登、ライデル・マルティネスの3投手による勝利の方程式の安定感で、8年ぶりにAクラス(3位)を勝ち取った。しかし、今季はR・マルティネスが調整遅れで開幕に間に合わず、他の救援陣にも「勤続疲労が心配される」と野口氏。打線は「ヒットを打って塁上を賑わせても、得点につながらない。その傾向の改善が上位進出の条件」と語る。

DeNAはコロナ禍で外国人選手に来日のメドが立っていないのが痛恨。本来打線の中軸を担うネフタリ・ソト内野手、タイラー・オースティン外野手はもちろん、昨季リーグ2位の56試合に登板した最速160キロ左腕のエドウィン・エスコバー投手の不在が痛いと見る。昨年大不振のシーズンを送った山崎康晃投手はなんとか開幕1軍入りを果たすが、「現状で安心して出せるリリーフは抑えの三嶋(一輝)だけ」では心もとない。

ヤクルトは「計算できる先発投手は、1人いるかどうかというところ。開幕投手の小川(泰弘)も現状は好不調の波が激しい」とあって、最下位予想もやむをえない。打線も山田哲人内野手が「下半身のコンディション不良」でオープン戦最終戦を欠場するなど不安を抱える。野口氏は「哲人が打たないと、村上(宗隆)が打線で孤立してしまう」と古巣を憂う。

コロナ禍で計算が立たない分、外国人選手がいつ戦列に加わり、どれだけ活躍するかで、勢力図が大きく変わる可能性もはらんでいる。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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