なぜマタニティハラスメントは発生するのか? その対処法とは

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。3月8日(月)放送の「オピニオンCROSS neo」では、弁護士の横山智実さんが“マタニティハラスメント”について述べました。

◆マタニティハラスメントの実態とは?

育休からの復職直前に解雇されたのはマタニティハラスメントだとし、神奈川県内の保育園に勤めていた30代女性が保育園を運営する社会福祉法人を訴えました。東京高裁は、解雇は違法無効とした上で解雇後の未払い賃金と社会保険給付の相当分に加え、復帰直前に復職を拒絶されたことで大きな精神的苦痛を負ったなどとして慰謝料30万円の支払いを命じています。

このように妊娠や出産、育休制度を申し出たことで不利益な扱い、解雇などをされることは男女雇用機会均等法や育児・介護休業法が禁止していますが、横山さんは「これとは別にマタニティハラスメントも存在している」と明言。これは妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントで、事業主に対し防止措置を講ずるよう法律で定められています。

マタニティハラスメントの行為主体となるのは上司や同僚で、対象は「就業環境を害する行為」。それは主に2種類あり、1つは産前休業の取得を上司に相談したら「休みを取るなら辞めてくれ」などと言われる"制度などの利用の嫌がらせ型”。もう1つは妊娠を報告時に「だったら他の人を雇うから辞めてくれ」、「妊娠するのは繁忙期を避けるべきだったのでは?」と嫌味を言われるなどの"状態への嫌がらせ型”。なお、これは男性が育休などを申請したときに害されてもハラスメントに当たる可能性があると横山さん。

しかし、言い回しによっては配慮と捉えられ、ハラスメントとの区別が難しい場合もあり、「日頃コミュニケーションを十分に取り、この場合の発言はどういう意味なのか、自分のなかで理解できるようにしておくことが大事」と注意を促します。

◆マタニティハラスメントの原因と防止策

また、ハラスメントが発生する原因について、そもそも職場に「制度に関する周知が足りない状況」と「制度を利用するのを良しとしない風土」が存在するなかで、妊婦の体調不良が発生し、他の人に仕事を分配。それによって業務負担が増え、否定的な言動が生まれ、雰囲気も悪くなり、ハラスメントの発生に繋がると横山さんは推察。

それを防ぐためには、「まずは周知の徹底が重要」と指摘。「事業主がどういう場合にハラスメントになるのか、その処分、就業規則がどうなっているのか周知徹底する必要がある」と訴えます。さらには、制度を社員全員が理解し、業務体制を整えておくことなどを挙げ、「誰が休んでも大丈夫となるように役割分担も日頃見直しておくのも大事」と横山さん。

また、マタニティハラスメントは他のハラスメントと一緒に起こることが多いと言い、そういったハラスメント全般に対する窓口の設置も促します。最後に「大人のハラスメントやいじめは嫉妬心や不平等感から生じることが多い。ただ、その感情は誰しも持ってしまうので、とにかくコミュニケーションを取ってほしい」と主張していました。

令和メディア研究所主宰で白鴎大学特任教授の下村健一さんは、育休などを取ることで職場のしわ寄せは生じるものと述べた上で、「そこは考え方。職場というチームのなかで"しわ”は寄せ合えばいい。誰かが休んでも大丈夫なシステム作りがポイント」と提言。

一方、キャスターの宮瀬茉祐子は、出産も2人目、3人目となると不満も生まれやすいと危惧し、出産だけでなく、介護や病気などに関しても「誰もが平等に休みやすい環境を作らないと、何の解決にもならない」と案じていました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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