鷹の対抗馬は? Aクラス“残り1枠”は激戦…プロ21年の元捕手がパ順位予想

オリックス・太田椋、ソフトバンクのグラシアル、楽天・田中将大【写真:荒川祐史、藤浦一都】

ヤクルトなどで捕手として通算21年間活躍した野口寿浩氏がズバリ!

コロナ禍でのプロ野球のペナントレースが、26日に開幕する。無観客でのスタートとなった昨季と違い、入場制限があるとはいえ、ファンの前でプレーすることはできる。パ・リーグは、4年連続日本一の王者・ソフトバンク中心の戦いになるのは容易に予想できる。現役時代にヤクルト、日本ハム、阪神、横浜(現DeNA)で捕手として21年間活躍した野球評論家、野口寿浩氏がシーズンを展望。ソフトバンクに加え、田中将大投手が8年ぶりに復帰した楽天の「2強」の展開を予想する。

1位 ソフトバンク
2位 楽天
3位 ロッテ
4位 オリックス
5位 西武
6位 日本ハム

ソフトバンクは、エースの千賀滉大投手が両ふくらはぎのコンディション不良、東浜巨投手も昨年末に新型コロナウイルスに感染した影響による調整遅れで開幕に間に合わない。それでも野口氏は「千賀は実戦で投げ始め、東浜も調子を上げているようなので、復帰までにそれほど時間がかからないと思います」と分析。「厚い選手層の中から、『誰だ、これは!?』と言いたくなるような選手を含め、毎年新しい選手が台頭してくるのがこのチームの強み」と付け加える。さらに、コロナ禍で外国人選手の来日のメドが立っていないチームが多い中で、ジュリスベル・グラシアル内野手とアルフレド・デスパイネ外野手の両主砲が健在。「そこが非常に大きい」と、連覇の可能性が高いと見る。

対抗馬に挙げる楽天は、田中将、涌井秀章、岸孝之、則本昂大、ドラフト1位ルーキーの早川隆久が強力な先発投手5本柱を形成。昨季先発に回っていた松井裕樹投手が、実績のある守護神の座に戻る。「松井が最多セーブに輝いた一昨年のような絶対的な働きをすれば、チームも昨季のようにシーズン後半に失速することはなくなる」。ソフトバンクとの激しい競り合いを展開しそうだが、「野手はレギュラーと控え選手の差が大きく、ケガ人が出るとガクンと戦力ダウンしてしまう。そこがソフトバンクとの差」と言う。

ロッテ、オリックス、西武の3チームは「順位つけるのは非常に難しい」

残るAクラス1枠について「ロッテ、オリックス、西武の3チームに順位をつけるのは非常に難しい」と悩んだ野口氏。「昨季2位に入った実績を買って」と、ロッテを推した。開幕戦を任された二木康太投手や美馬学投手、小島和哉投手らにドラフト1位ルーキー・鈴木昭汰投手、今月14日に育成から支配下登録を勝ち取った左腕・本前郁也投手が加わり、安定した救援陣を含めて「粒ぞろいの投手陣が強み」と挙げる。

「台風の目」になりうるのがオリックスだ。「楽しみな若手が多数台頭してきている」と理由を語る。3年目・20歳の太田椋内野手が二塁、2年目・19歳の紅林弘太郎内野手も遊撃で開幕スタメン濃厚。「太田はうまく育てば巨人・坂本勇人のような選手になる。紅林は長打力もありスケールが大きい」と目を細める。1番定着を期待される両打ちの佐野皓大外野手、昨年9月に支配下登録され1軍でも2本塁打を放った大下誠一郎内野手に、ブレークの予感が漂う。投手陣も山本由伸投手、山岡泰輔投手、田嶋大樹投手の先発3本柱に加え、19歳の左腕・宮城大弥投手が成長。2年連続最下位と6年連続Bクラスに終止符を打つ年になるか。

西武は先発投手が手薄。自慢の山賊打線も、コロナ禍でコーリー・スパンジェンバーグ内野手が不在なのは「痛い」と言う。一方で「増田(達至)、平良(海馬)らリリーフ陣は良くなっているし、先発に転向した平井(克典)もオープン戦で安定感を示した。このあたりの奮闘が上位進出の鍵」と見ている。

日本ハムは「計算できる先発投手が上沢(直之)だけ」では厳しいと最下位予想。「2015年に優勝したヤクルトのように、打撃タイトルを独占するくらいの打線で投手陣をカバーできればいいが、現状では、上位に素晴らしい選手がそろっているのに比べて下位打線が弱い」と指摘。下位打線から上位へ回す流れができれば、パ・リーグを混戦に引き込む可能性がありそうだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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