ありがとう…移動図書館「みずうみ号」33年の歴史に幕 東京・東大和市

東京・東大和市で30年以上にわたって活躍してきた移動図書館「みずうみ号」が3月いっぱいで運行終了することになりました。東日本大震災の時には、被災地で子どもたちを楽しませるなど人気を集めました。

童謡・どんぐりころころのリズムに乗って現れたのは、どこか懐かしい雰囲気の移動図書館「みずうみ号」です。水色が愛らしい車体の「みずうみ号」は、東大和市のシンボル・多摩湖から名付けられました。週に1度、水曜日に3500冊の本を積んで、市内の公民館や市民センターを回り、多くの市民に本の面白さを伝えてきました。取材したこの日も子どもたちが本を夢中になって選ぶ様子が見られました。街から愛される「みずうみ号」ですが、2021年3月末、老朽化を理由に運行を終了することになりました。長年運転してきた職員も「次回で最後だね。なんか寂しいですね」と、その思いを込めながら最後の運行日を停留所に書き入れていました。

現在の「みずうみ号」は2代目として1988年に誕生し、平成から令和にわたって33年間、移動図書館として市内を駆け回ってきました。2011年の東日本大震災の際は宮城県石巻市にも出向き、避難所や小学校などを回って本や漫画を貸し出し、子どもたちに元気を与えました。

しかし長い歳月で車両は老朽化してきたことから東大和市は維持するのが難しいとして、運行を終了する方針を固めました。東大和市立中央図書館の当摩館長は「長い歴史を閉じるのは難しい判断だった。ただ、車の事故があったら問題なので、運行終了を英断した」と話しています。

これまで足を運んできた人たちも別れを惜しんでいます。利用者は「引っ越してきて近くに図書館がなかったので本に飢えていたが、みずうみ号を知って助かった」「本当に何十年も使わせていただいて助かった。ありがとうございます」などと話していました。

市は「みずうみ号」との思い出を残してもらおうと、オリジナルのカードケースを作成し、車体には市民からの「本を届けてくれてありがとう」「また復活してね!」「娘が小学校低学年の頃、学校帰りにみずうみ号に寄るのが楽しみでした。娘も4月から中学生になります。本がとても好きな子になりました」など、数多くの別れのメッセージが飾られました。

市民から愛された「みずうみ号」は3月末で役目を終え、4月からは市の車が巡回して本の貸し出しなどの対応をする予定です。車両の今後は未定で、市は引き取ってもらう方法などを検討しているということです。

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