【高松宮記念】レシステンシアが最終追いで豪快デモ 松下調教師「初めての1200メートルでも通用する」

栗東坂路で絶好の動きを見せたレシステンシア

春のスプリント王を決する第51回高松宮記念(28日=中京芝1200メートル)の最終追い切りが24日朝、東西トレセンでスタートした。レース史上最多のGⅠ馬7頭が揃う豪華メンバーとなったが、その中でも前走の阪急杯でレコードVを飾ったレシステンシアは栗東坂路で絶好の動きを見せた。今回は初の1200メートル挑戦となるが、無念の骨折となったアノ男の情念が4歳牝馬の魂に火をつけるはずだ――。

レシステンシアに騎乗予定だった武豊(52)は先週土曜(20日)の阪神競馬10Rで、騎乗馬がゲート内で暴れて右足を負傷。翌日の阪神での騎乗をすべてキャンセルした。その後、22日に京都市内で精密検査を行って「右第2、第3、第4中足骨骨折」が判明。今後は5月以降の復帰を目指す。

これによって同馬は浜中への乗り替わりとなったが「金曜(26日)に乗ってもらう予定。ダービージョッキーですから」と松下調教師は代打でのGⅠ騎乗にも期待を寄せる。

レシステンシアは前走・阪急杯をレコードで快勝。古馬相手では初となる1400メートルだったが、スピード負けすることなくハナを奪って、持ち前の快速を見せつけた。

ポイントは同じ逃げ切りでもこれまでと一線を画す競馬だったこと。松下調教師はレースをこう振り返る。

「馬なりで運んで折り合ったところが、結果的にハナだっただけ。ジョッキーも“ためれば伸びる”というイメージで乗ってくれたみたいですし、レースの幅が広がる内容だったと思います」

3歳春のチューリップ賞(3着)時には結果を出せなかったため逃げのスタイルを確立し、自身初の上がり33秒台をマーク。これこそが彼女自身の成長を示すもので、リニューアルしたレシステンシアの姿ではなかったか。

使った後も無駄にテンションが上がることなく、1週前は坂路で4ハロン50・3秒の快時計。不運なアクシデントで負傷し、無念の乗り替わりとなった武豊の分まで――。春の尾張の電撃戦を全力疾走で駆け抜ける。

注目の総仕上げは坂路での単走追い。前半から牡馬顔負けの豪快なフットワークが目下の充実ぶりを物語る。ラスト1ハロンで鞍上が軽く促すとはじかれたように前に出た。余力を残しながらも、頂上まで闘志みなぎる走りでフィニッシュ。前進気勢を見せながら、しっかりコントロールの利いた内容で4ハロン53・8―38・8―24・7―11・9秒をマークした。

1週前にしっかり負荷を掛け、直前はサッと。点と線がつながる理想的な形で最終調整を終え、大一番へ死角なしを改めて印象付けた。

稽古を見届けた松下調教師は「状態は高いレベルで安定していますし、初めての1200メートルでも通用するだけのスピードは持っていると思います。ここでも不安より楽しみのほうが大きいですね」と仕上がりに確かな手応え。当日の微妙な空模様についても「レコードで走れていますし、桜花賞(2着)のような雨馬場にも対応してくれているので」と2つ目のGⅠタイトル獲得へ期待を込めた。

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