窮地のススキノを救え!徹底される感染封じ込め策

けいナビ

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新型コロナウイルスの感染対策で北海道が札幌の飲食店に出していた営業時間の短縮要請が先月末に解除された。経済活動の本格再開の鍵を握るススキノ。感染拡大を徹底的に抑える、官民挙げた取り組みが進んでいる。

ススキノ離れも?店では万全の対策が

新型コロナウイルスの新規感染者数が落ち着き、飲食店への午後10時までの時短要請が明けたススキノ。少しずつ人出は戻っているものの、シャッターが閉まった店舗も少なくない。3月中旬の金曜日。携帯電話の位置情報から推計したすすきの駅周辺の午後9時台の人出は、コロナ前と比べて30%あまり減少したままだ。

こちらのスナックでは、時短要請の解除に伴い、感染対策を強化。壁やドアなどに抗ウイルス加工を施した。病院や高齢者施設などでも採用されているという。ママの木村さんは「絶対に次の感染の波は来てほしくない。強く防止したい思い」と話す。

この1年間の売り上げはコロナ前の4割ほど。国の持続給付金や家賃支援給付金などを活用してしのいできたが、去年秋に無利子無担保の特別融資制度で800万円を借り入れた。GoToキャンペーンの効果などで一時は持ち直したものの、4カ月におよんだ時短・休業要請で先行きにも不安を募らせている。

木村さんは「借り入れから3年後に元本の支払いが始まると思うと、今は不安だ。時短が明けても今と同じ客の流れが続くのであれば、年内には融資が底をつくと思う」と話す。

別のスナックでは時短要請の解除後、しばらく休止していた会員制サービスを再開した。1カ月ごとに定額料金を前払いすれば、割安でお酒が飲める仕組み。時短要請が休業要請に引き上げられるとサービスを提供できなくなるため、控えていた。

ママの綿矢さんは「基本的には会員の名前、連絡先はすべて把握している。利用客に感染の疑いが発生した場合、一から連絡先を調べるという手間がないので迅速に対応できる。新規の客がたくさん来るという店ではないので、安心してもらえる要素になると思う」と話す。

こちらは開業10年の中華レストラン。従業員はアルバイトを含め10人を超える。フロア50席はすべて個室。テーブルは客が向かい合わないよう、対角線にセットする。

先月あたりからようやくフロアが満席になる日が出てきたと言うが、この冬は風評被害にも悩まされた。富井社長は「ススキノに対する風評被害はあった。国道36号より南側は行けないとか、ススキノという地区がだめだと言われる時期もあった」と話す。

ススキノの外れにあるライブハウス。このライブハウスでは飲食の実態がないとみなされ、今回の時短や休業要請の対象外に。ほぼ連日イベントを行ってきた。去年はクラスターの発生がしやすい場所とされただけに感染対策は徹底している。

三浦社長は「37.2度以上の人は入場を断っている。客は声を出さずに拍手やジェスチャーで楽しんでいる。業界で決めたガイドラインに沿ってやっているが、そこを客もわかった上で来てもらっている。大変助かっている」と話す。

もともとは北海道外のバンドの上演が多かったが、去年3月のコロナ拡大で一挙にキャンセルに。その穴を埋めたのが地元のバンドたち。三浦社長は「今まで面識があっても仕事を一緒にしたことがない連中も多かった。仕事を一緒にしてみて新しい発見があった」と前向きに捉えている。

札幌市と業界団体の官民挙げた取り組み

保健所などによると、ススキノ地区の感染者は11月は200人を超えていたが、12月は7割減となった。

しかし、ススキノ地区での感染拡大の後に市中感染が広がっていたため、感染者数が減っても、やはりススキノの重点的に対策を取る必要があった。

札幌市北区の民間PCR検査施設。ここに連日、ススキノの接待を伴う飲食店の従業員が自ら採取した唾液の検体が運ばれてくる。検体が到着した当日に結果が判明するという。

このPCR検査は札幌市が全て費用を負担。ススキノの接待を伴う店の全従業員が対象で無症状でも週1回の検査を受けることができる。市と業界団体が1月下旬から取り組む対策プロジェクトの目玉だ。ススキノ対策にこだわるのは、11月以降、札幌や道内にまん延した第3波を防ぎきれなかった反省がある。

札幌市保健所の西村剛企画担当部長

北海道で第2波が収まった夏以降、ススキノではウイルスがくすぶり続け、感染源の温床となったと考えられるからだ。札幌市保健所西村企画担当部長は「できるだけ接待を伴う飲食店の方々に受けていただきたい。だいたい700店舗(約5,000人)くらいと言われている」と話す。

札幌市はススキノの事業者と去年12月からコロナ対策の勉強会を開催。PCR検査で陽性者が出た店舗には消毒費用として最大40万円を補助するなど、店側の協力を引き出すインセンティブも用意。感染者が出た場合の対策マニュアルも作成した。

マニュアルも作成した

札幌市はここ数年、「夜」の観光に力を入れてきた。夜間の「食」や「遊び」は旅行者にとって大きな魅力だけに、それを担うススキノが以前のような活気を取り戻すことが札幌市にとっては至上命題だ。

「まるで戦争」支援の現場で聞こえた悲鳴

ススキノのスナックが行う炊き出し。訪れた女性は「昼間の仕事に変える女性もいれば、どうしていいかわからない女性もいる。私はまだ家もあるしお風呂も入れるし、ましなのかな。はっきり言って戦争だ」と働く人たちの実情を明かした。

スナック「結維。」で行われた炊き出し
まるで戦争、と実情を話してくれた

札幌中心部のビル。SNSの情報を頼りに人が集まる。目当ては袋いっぱいに詰められた食料品や日用品だ。コロナ禍で収入が減ったススキノで働く人を対象に市内の支援団体などが昨年12月から定期的に配布している。

支援団体の山崎代表は「女性は非正規が多い。コロナで雇用が打ち切られ食べるものに窮している。特にススキノで働く女性が大変な状況だ」と話す。山崎代表によると、ススキノで働く女性は従業員ではなく、個人事業主のような形で店と契約しているケースが少なくなく、休業手当の対象外で仕事がないとその日から収入が途絶えてしまうという。

この支援活動に協力を申し出た飲食店も。繁華街で働く人は夜間の方が支援物資を受け取りやすいと考え、店を配布場所として提供。支援活動を支えている。取り引き先の酒店がこの活動に協力したいと飲み物の提供も受けたという。

店を配布場所として提供

経済活動の本格再開の鍵を握るススキノ。懸命な支援策・感染予防策が続いている。
(2021年3月27日放送 テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)