藤井2冠の「神の一手」をめぐり“AIの最善手”がSNS上で賛否「感動半減」の声も

23日に行われた将棋の竜王戦2組ランキング戦準決勝(代表撮影)

23日に行われた将棋の竜王戦2組ランキング戦準決勝の藤井聡太2冠(王位・棋聖=18)と松尾歩八段との対局で藤井2冠が指した妙手をめぐって、SNS上でちょっとした論争が起きている。

この妙手は飛車を取れる局面で銀をただで捨てるというもの。棋士の間でも「人類では指せない手」「神の一手」などと称賛されている。

こうした中、中継で示されるAIの最善手をめぐってSNS上で賛否が起きている。ABEMAの中継では最新のAIが数十億手まで読んだ上で最善手が示されるのだが、棋士が指す前に最善手が示されることが賛否を呼んでいるのだ。

AIが最善手を示すことで「中継に集まって、解説者と視聴者みんなが棋力関係なく『こんな手が指せるのか…?』と一体感を持って盛り上がることができたのはポジティブに考えてよい」と素人でも分かりやすくなり、興味を持てるようになったという一面もあるが、一方で「将棋AIが事前に示していなければもっと感動できた。と言うより、終盤は評価値とか一切見ない方が圧倒的に面白い」といった声も出ているのだ。

元A級棋士の阿久津主税八段も23日、ツイッターで藤井2冠の妙手について「今の時代だと予想手とかで先に知れてしまうのが少し残念。自分が対局しててこういう妙手を発見したらめちゃくちゃ気持ちいいってなりますが」と投稿。これにフォロワーからも「全てがAIでわかってしまうのは将棋の魅力が半減してしまっていると思います。中継などで形勢判断わかってしまうのもちょっと…って思ってます」という意見も寄せられている。

将棋中継でAIが示す最善手をめぐる賛否は以前からあったが、ここまでの議論になったのは藤井2冠が指した一手が、それだけ歴史的に残るものであり衝撃的だったがゆえだろう。

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