則本昂大が復活しなければ「楽天は2位」 GG賞7度の名手が挙げるセパのキーマン

楽天・則本昂大【写真:荒川祐史】

田中将大の復帰は則本昂大にも好影響「のびのびやれる気がする」

26日に開幕するプロ野球のペナントレース。主力選手をはじめ、ルーキーやブレーク候補の若手らがどんな活躍を見せてくれるのか期待は膨らむ。そんな中、現役時代にヤクルト、楽天で名外野手として鳴らし、ゴールデングラブ賞7度を誇った飯田哲也氏は、復活を期す2人を“注目選手”としてピックアップした。

1人目は、ルーキーイヤーから6年連続2桁勝利を挙げながら、最近2年はいずれも5勝止まりの楽天・則本昂大投手。楽天は今季、日米通算177勝の田中将大が8年ぶりに復帰し、涌井秀章、岸孝之、そして則本昂とともに強力な先発4本柱を形成する。4人の通算勝利数は538に及び、下馬評が高い。飯田氏は「楽天が優勝するには、4人合計で最低50勝は必要。則本昂も10勝は最低ライン」と指摘。「極端な話ですが、私は則本が復活すれば優勝、しなければ2位、というくらいに見ている」と語る。

2013年に新人で15勝(8勝)を挙げ、球団創設初優勝の原動力のひとりに。田中将がヤンキースに移籍した後もチームの屋台骨を支え続けた。2019年から7年契約を結んだが、同年は3月に右肘のクリーニング手術を受けた影響もあって5勝5敗。昨季もコロナ禍で調整に悩み、5勝7敗に終わった。

「ここ2年は右肘の故障の影響が大きかったと思うが、ポテンシャルは凄い。田中将に注目が集まる今年は、エースの重圧から解放され、のびのびやれる気がする」と飯田氏。キャンプからオープン戦にかけて順調に仕上げており、3年ぶりの2桁勝利はもちろん、キャリアハイに近い活躍が期待される。

ヤクルト・山田哲人【写真:荒川祐史】

山田哲人に寄せる期待「全試合フル出場に近いものが求められる」

もうひとりは、トリプルスリーを3度達成したスターで、昨季は故障に悩まされたヤクルト・山田哲人内野手。昨季は脇腹を痛めるなどコンディション不良に悩まされ、94試合出場、打率.254、12本塁打8盗塁の不本意な成績に終わった。国内FA権を行使せず残留を決め、総額約40億円(金額は推定)の7年契約を結んで臨む今季は、自ら志願して主将にも就任した。

ところが、今月20日の西武とのオープン戦(メットライフ)では先発出場しながら、下半身の張りで2回の守備から交代。オープン戦最終戦だった翌21日の同カードは欠場した。開幕スタメンは間違いなさそうだが、シーズンを通しての活躍に暗雲が垂れ込めた。

ヤクルトOBでもある飯田氏は「本来、他の選手をぐいぐい引っ張るタイプではない。主将就任直訴は、よほど期するものがあったのだと思う」と認めた上で、「やってもらわないと困る。山田には『開幕に間に合う』だけなく、シーズン全試合フル出場に近いものが求められる。チームの顔であり、高い年俸をもらっていて、責任がある立場ですから」と奮起を促す。

今季のヤクルトは、21歳の主砲・村上宗隆の進境が著しい。39歳の青木宣親、36歳の坂口智隆、ソフトバンクを退団して加入した内川聖一もオープン戦で好調だったが、「チームの軸である山田がいてこそ生きる」と強調する。

則本昂と山田はともに、チームと大型の7年契約を結んでいる。不振のシーズンがあれば批判の対象になりやすい重圧もあるだろう。年齢的には則本昂が30歳、山田は28歳で働き盛り。輝きを取り戻し、チームを浮上させることができるか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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