【フィギュア世界選手権】紀平梨花SP2位!〝コスパ満点〟のイメトレで快発進

紀平は上々のSP2位発進(ロイター)

フィギュアスケートの世界選手権(スウェーデン・ストックホルム)女子ショートプログラム(SP)が24日に行われ、日本女子のエース紀平梨花(18=トヨタ自動車)が79・08点をマーク。大会初制覇に向けて上々の2位発進を決めた。今大会は厳しい新型コロナウイルス感染対策と規制を強いられるが、直前合宿では隔離制限の絶妙な〝スキマ〟を縫ったイメトレを敢行。快進撃の原動力としている。

赤と黒の鮮やかな衣装に身を包み、最終滑走者として登場した全日本女王。冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)、フリップ―トーループの3回転連続ジャンプでは回転不足を取られながらも着氷。得点が1・1倍となる後半の3回転ルッツはしっかり成功させ、スピンやステップも全てレベル4を引き出した。抜群の身体能力を駆使した注目の「片手側転」も華麗に決め、演技を終えると右手で拳を握り、無人の観客席に向かって笑みを見せた。

試合後、紀平は「とりあえず3つのジャンプが着氷できて良かった」と及第点を与えつつも「まだ100%とは言えない」と課題も口にした。26日(日本時間27日)のフリーへ向けて「4回転を入れられる位置にいられたと思うので、しっかり調整して一番良い状態でフリーの本番に持っていけるようにしたい」と意気込んだ。

今大会はバブル方式が採用され、厳戒なコロナ対策が敷かれる。大会前の隔離練習では広いリンクで独りぼっちで練習を行うなど、初めて経験する異例の環境に「スケートが好きじゃないって思ってしまうこともあった。また(大会が)なくなってしまうんじゃないかと思いましたし、コロナに感染したくないっていう思いもあって、いろんなストレスがたまっていたと思います」と珍しく弱気な一面も見せた。

しかし、ただでは転ばないのが紀平だ。コーチを務めるステファン・ランビエル氏(35)率いるチームと合流した今月中旬のスイス合宿では、ある工夫を凝らした練習をひそかに行っていた。「隔離なので本当は(他の選手の)練習を見られませんが、トレーニングルームがガラス張りだったんです。トレーニング用のバイクをこぎながら、隔離練習をしている宇野選手をチラっと見させてもらっていました」と明かした。

同じステファン門下生で平昌五輪男子銀メダルの宇野昌磨(23=トヨタ自動車)のスケーティングをガラス越しに見てイメトレしつつ、同時進行で下半身も鍛えていた。「見ていて勉強になりますし、男子の4回転ジャンプを見ることでイメージはしやすくなりましたね」。この〝コスパ満点〟の練習がレベルアップに一役買っているわけだ。

首位のアンナ・シェルバコワ(16=ロシア連盟)とは射程圏内の1・92点差。初の世界女王戴冠へ、これまで何度も見せた〝逆転の紀平〟の本領発揮といきたい。

© 株式会社東京スポーツ新聞社