住民の願い、なぜ届かぬ 嘉手納爆音訴訟上告棄却 原告、怒りと嘆き 第4次提訴へ決意

 【中部】「人として当たり前の生活を求めているだけだ」「声は届かないのか」。米軍嘉手納基地からの騒音差し止めなどを求めた第3次訴訟で、最高裁は住民の上告を退ける決定をした。24日、原告団は怒りや嘆きの声を上げた一方、第4次提訴への強い思いを語った。

 嘉手納爆音訴訟原告団の新川秀清団長は「静かな夜を取り返したいという当たり前で、切なる願いを一顧だにしない。人権を受け止めていない。これが司法か」と怒りをあらわにした。裁判は一次訴訟から約40年続く。静かな空を取り戻せないまま、無念のうちに亡くなった原告もいることを挙げた。第4次訴訟への動きを明らかにし、強調した。「あきらめない。戦後から続く苦しみを、このままにはしたくない」

 北谷支部副支部長で砂辺に暮らす照屋正治さんは、同じく米軍が駐留するイタリアでは、米軍の訓練に対してイタリアの国内法が適用されていることを指摘した。最高裁が実質審理をせずに上告を退けたことに「納得できない。沖縄の現状がどれほど矛盾しているのかを理解してほしい」と強調した。

 第3次訴訟では、法廷で意見陳述をし、爆音に悩まされている実態を証言した今秀子さん=北谷町=は「米軍機が真上を飛ぶと、騒音が脳天を突き抜けて、耳に痛さを感じる」と現状を語った。政府は基地負担軽減を幾度も口にするが、実感できないと訴えた。「私たちの声を受け止めることなく門前払いするのは怒りしか沸かない。補償うんぬんではない、静かに暮らしたいだけだ」

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