北朝鮮からも聖火リレーの〝号砲〟? 今年初のミサイル発射に危機感

なでしこの岩清水梓(左)がトーチに火をともした(代表撮影)

五輪機運に冷や水か…。日本政府は25日、北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたと発表した。防衛省によると、発射は同日午前7時すぎで、日本では福島県で東京五輪の聖火リレーがスタートする予定時刻9時40分の2時間ほど前だった。

政府関係者は2発が発射されたとの認識を示した。日本領域には飛来せず、日本の排他的経済水域(EEZ)内にも落下しないものと推定されるとした。「昨今の北朝鮮による弾道ミサイルなどの度重なる発射は、日本を含む国際社会全体にとって深刻な課題だ」と指摘した。防衛省などで情報収集を急いでいる。弾道ミサイルと確認されれば今年に入って初めて。

北朝鮮を巡っては韓国軍合同参謀本部関係者が24日、北朝鮮が21日午前に中部の平安南道・温泉から巡航ミサイルと推定される2発を発射したと明らかにした。

その後、菅義偉首相は昨年3月29日以来の弾道ミサイル発射と断定。情報収集・分析に全力を挙げて国民に情報提供を行うこと、航空機や船舶の安全確認の徹底、不測の事態に備え万全の態勢をとることを指示した。

聖火リレー出発前に、海を隔てた北朝鮮でミサイルの可能性のあるものが発射された。菅首相は国会日程などを考慮して聖火リレー出発式の欠席が決まっていたが、参加していればスケジュールに混乱が生じる可能性もあった。過去には1964年の東京五輪の期間中、中国が核実験を行っている。今回の「発射」ニュースに、ネット上には「今日が聖火リレーのスタートだからだろう」「聖火リレーの中止を願っているのか?」などと反応が寄せられた。

北朝鮮指導者の金正恩氏は、東京五輪参加の意向をかねて示している。菅首相は日朝首脳会談に意欲を示しており、韓国の文在寅大統領は東京で北朝鮮を交えた五輪外交の実現を期している。

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