「真相を知りたい」高須克弥氏 〝リコール不正問題〟のキーマン2人

不測の事態に高須氏も首を傾げるばかりだ

大村秀章愛知県知事に対するリコール署名に不正疑惑が持ち上がっている件で24日、署名運動の代表を務めた「高須クリニック」の高須克弥院長(76)が「真相を知りたい」と訴えた。この日、愛知県警はリコール運動事務局の元事務所を地方自治法違反(署名偽造)容疑で家宅捜索。無効とされる署名が佐賀県内でアルバイトにより書き写された疑惑もあり、誰が主導したのかが注目されている。

「なぜ家宅捜索に入ったのか不思議です。昨年12月に残務処理を終えて、1月に事務所の鍵を(大家に)返している。もう何も残っていないのではないか」

今回の家宅捜索について高須氏はこう疑問を呈した。

改めて経緯を振り返ってみよう。署名活動が始まったのは昨年8月。高須氏が代表を務め、河村たかし名古屋市長が応援という形で運動はスタート。しかし、県選挙管理委員会の調査では提出された約43万5000人分の約8割が無効で、その大部分に不正疑惑があるとされている。

さらに、署名を佐賀県内でアルバイトに書かせていたという疑惑も出ている。事務局幹部が名古屋の広告関連会社に依頼したとされるが、幹部らは関与を否定しているという。

地元メディアで名前が取りざたされている幹部は田中孝博事務局長と副事務局長だった山田豪常滑市議だ。田中氏は「事務局メンバーは一切やっていない」とメディアの取材に答えている。

高須氏は「田中氏に現場を任せていました。最終的な責任は僕が取りますよ。田中氏のことは知っているけど、ほかの方のことは知りません」と事務局の運営についてはノータッチだったと明かした。

山田氏については、「私は知らない。常滑の支部を開く時に仲良くさせてもらったけど、ボランティアの一人だと思っていました。いつの間にか副事務局長になっており、田中氏が任命したのかなと思っていました」と高須氏。事務局の人事についても関与していなかったと話した。

高須氏は「真相が知りたい」とし、「捜査には全面的に協力すると言っているのに愛知県警からは問い合わせがない。いつでも来てくださいと言い続けている」と訴えた。

一方で高須氏は家宅捜索のタイミングにも疑問を感じている。約1か月後の4月25日には名古屋市長選挙(告示は同11日)の投開票が控えており、河村氏も出馬を表明している。高須氏は「選挙妨害を始めたなと思いました」と私見を披露。このタイミングで家宅捜索となれば当然、報道の際には河村氏の名前も出る。選挙前に不正疑惑と一緒に報道されては河村氏にとってはマイナスになりかねない。

河村氏は同日、不正への関与を否定しつつ、「事務局が主体的にやらないと(不正は)できない」と記者団の取材に答えた。果たして真相はどのようなものなのか。

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