諫早市議選終盤情勢 旧市域 局地戦の様相

新人候補の出陣式で拳を突き上げる支援者たち=諫早市内

 諫早市長選、県議補選同市区と同じ28日投開票の諫早市議選。定数26に対し、現職21人と新人11人の計32人が立候補。立候補数は前回と同数だが、今回から定数4減のため、当選ラインの上昇は必至。2005年に合併した旧5町などで候補者が減り、“地域の代表”を争う側面が加速。新型コロナ禍で選挙運動に制約が多く、有権者の反応がつかみにくいまま、終盤戦に入っていく。

 今回、県議選に挑んでいる2人を除くと、引退する議員は7人。このうち、小長井、長田、有喜、中央各地区は後継にあたる新人4人を擁立。それ以外の後継がいない地区は、他の候補が入り込む“草刈り場”などとなっている。
 2005年に合併した旧5町出身の候補者は、前回より4減の9人(小長井、森山、高来各1、飯盛2、多良見4)。このほか、郊外部の長田、小野、有喜、本野各地区なども地域がバックアップ。公明、共産などの党公認候補も組織戦で挑み、「定数の半数超の15、16議席は“地域・政党代表”で安泰」との見方だ。
 そのため、残り10議席前後を争い、局地戦の様相を帯びているのが旧市域。中でも、南部の小栗地区(有権者数約1万人)は現職、新人の計4人が争う。朝のつじ立ちなどでアピールする新人2人に対し、現職2人の危機感は強い。その一人は「前回より厳しい要素があるのは確か。新たな票を掘り起こしている」と懸命だ。別の地域の現職も「地域外の候補が入り乱れて苦しい」と漏らす。
 定数30だった前回選挙の最下位当選者の得票が1383票。今回の“ボーダーライン”となる前回26位の得票は1557票。投票率が前回の58.22%を上回れば、ボーダーラインはさらに上がり、1600票台以上とみられる。各陣営は「2千票が目標」と意気込むが、前回の当選者のうち、2千票以下に11人、1700票以下に6人がひしめき、「ボーダーが上がれば、現職が数人、はじき飛ばされる可能性がある」とささやかれている。
 投票率は、市町合併直後の05年の75.01%をピークに下落傾向が続く。市長選と県議補選を合わせた「トリプル選」の影響か、22、23両日の期日前投票は5295人。前回比864人増と好調。コロナ禍で全国的に投票率が下落する中、「60%台前半」とみる向きが多い。
 各候補とも人口減少対策や雇用対策、地域課題など政策が似通い、論戦は盛り上がりを欠く。大半がコロナ禍を理由に個人演説会を見送り、有権者との距離を保てる選挙カーでの遊説や街頭演説中心だが、有権者の反応がつかめない不安だけが募っている。
 選挙人登録者数(有権者数)は11万2764人(男5万2585、女6万179)=20日現在、市選管調べ)。

© 株式会社長崎新聞社