東京台湾飯|“何このうまさ!”と初めて食べた感動が蘇る三軒茶屋の「帆帆魯肉飯」

東京で楽しむ台湾グルメ「東京台湾飯」。今回は三軒茶屋に昨年11月にオープンしたばかりの「帆帆魯肉飯」(ファンファンルーローハン)をご紹介します。最近は知名度も上がってきた魯肉飯です。このお店には「ちょうどいい」といった、ほんわかおいしい魯肉飯がありました。魯肉飯は台湾のみなさんのソウルフードともいえる丼もの。豚バラ肉を細かく切ったものを醤油や中華系スパイスで甘辛くゆっくりと煮こんだら、ご飯にかけていただきます。

三軒茶屋の南口を出てぶらぶらと5分ほどで台湾に到着!

三軒茶屋は北口から出ても南口から出ても、世田谷通りや国道246号線、それに茶沢通りにも、一歩入った裏通りにもおいしいお店がたくさん集まっていて楽しい街です。

さて、南口を出てそのまま商店街をぶらぶらと歩くこと5分ちょっとで、今回の目当てのお店「帆帆魯肉飯(ファンファンルーローハン)」がありました。白く塗られた木材の外観に、パイナップルをかたどった飾りがぶらぶらと。これならすぐに見つかります。

入り口の脇には台湾の縁起物や郵便受け、台湾風の住所表示もあって雰囲気が盛り上がります。たぶん、このホウキも台湾のものですよね。

入ってみれば、手前にテーブルとカウンター席、一番奥にキッチンがあります。台湾の気軽な食堂風です。

オープンなキッチンには電鍋が2つ。その昔、日本の電機メーカーが台湾で販売しはじめたレトロな炊飯器です。台湾では今でも現地のメーカーが製造販売する現役調理器具で、一家に一台なくてはならないとか。ごはんも炊けますが、ゆっくりと時間をかけて煮物を作ったり、水蒸気で蒸したりとその用途はマルチです。

縁起物は壁にも、それにカウンターにもぶら下がっていて、なんだかいいことありそうな気がしてきます。

水が入っているポットとカップもかなり台湾キッチュでイケてます。「飲水思源」とは、「水を飲むのであれば、その源のことを思いなさい」という中国の故事成句。今回は「魯肉飯を食べてそれを作った人のことを思いなさい」ということかな。

コンロの上にはおいしそうに出来上がった魯肉飯の具がふつふつと。これです。今日は、これをいただきます。そして、作った人に話を伺います。

なにかと「ちょうどいい」魯肉飯です

こちらが「魯肉飯セット(並)」(900円・税抜)、魯肉飯(並サイズ)、滷蛋、週替わりスープ、漬物付きです。

これですよ、これ!並サイズはたっぷり大満足の量です。ほっかほかのご飯の上に、煮込んだ肉「魯肉」がたっぷり、煮汁はご飯にちょうどいい汁加減で浸みてます。

「滷蛋」(ルーダン)は八角やシナモンと醤油にお砂糖少しで作った煮卵。大根のたくあん漬けときざみ高菜ものっかっています。たまごを割って黄身の部分をご飯に混ぜたり、高菜もプラスしてピリッとさせたりと、好きなように食べすすみます。

週替わりのスープ「湯」は、干し海老とセロリでした。すっきりとしているのですが、海老からの海鮮出汁がばっちりで旨味たっぷりです。

さて魯肉飯の印象ですが、一言でいうなら「ちょうどいいおいしさ」です。肉の身の部分と脂の部分がいい感じでハーモニーを奏でて、食感も共に同じように柔らかいんです。八角などのスパイスも強すぎなくって、でも物足りないことはないという絶妙なバランス。台湾の濃い口しょうゆも使っているそうで、ほんわかとした甘辛でやさしい味付けです。そうです、全体に優しいんです。ホッとします。

魯肉飯が大好きで、いつの間にかお店をオープン

このお店をオープンしたのが唐澤千帆さんです。そんなに旅好きでもなかったのに、8年前に友達に誘われて出かけたのが台湾。到着してまず最初に食べに出かけたのが魯肉飯で、そのおいしさに、いきなり衝撃を受けたのだそう。あれから30回以上台湾に通い詰めて、魯肉飯を食べ歩きました。

「こんなにおいしものがあるなんてと、驚きました。あまりにもおいしくて、魯肉飯をあっちこっち食べ歩いたんです。会社員でしたが、そのおいしさを日本で伝えようと、4年前から墨田区京島のシェアカフェhalaheluでの間借り営業を始めました」

そうこうしているうちに、SNSでの評判が評判を呼んで活動の場が増えていきました。

「コロナ禍の大変な時ですが、間借りイベントが4軒に増えたり、ケータリングやイベント出店もありとどんどん忙しくなって、いつかお店を持ちたいなとは思っていましたが、自然にオープンすることになったんです」

とにっこりと笑う唐澤さんには、ほっこりさせられます。あ、この人が作った魯肉飯だから、あのおいしさなんだなと気づきました。

「お店の物件はいろいろ見て回って、予算に合う店舗が見つかりました。ちょうど入り口のドアのところに、台湾の形をした傷があって、めぐりあわせかもしれませんね」

店内のインテリアは台湾出身の友人の建築家が作り上げてくれたものだそうです。台湾らしさが本格的なわけです。そして、唐澤さんの台湾でのニックネームは名前が千帆さんだから「帆帆(ファンファン)」。それがお店の名前になりました。

「ルーローハンは全体バランスなんです。八角や五香粉といった台湾で使うスパイスで味をつける料理というだけじゃないです」と帰り際に。なるほどです。

コロナが落ち着いたら、従業員みんなで台湾へ行って魯肉飯を食べ歩きするのを楽しみに、毎日やってくるお客さんを幸せにしています。

帆帆魯肉飯(ファンファンルーローハン)

住所:東京都世田谷区三軒茶屋1-5-17

営業時間:平日 昼12:00~15:00(L.O.14:30)夜17:00~20:00(L.O.19:30)、土日12:00~19:00(L.O.18:30)

定休日:月曜・水曜

HP:https://www.funfunluroufan.com/index.html

[All photos by Atsushi Ishiguro]

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