京都の中心繁華街、増える空き店舗 タピオカ店や外資系が素早く撤退

テナント募集を示す張り紙が貼られた空き店舗。昨秋から年明けにかけて目立ち始めた(京都市中京区・新京極商店街)

 新型コロナウイルスの影響が長期化する中、京都市内の繁華街、新京極や四条通周辺で空き店舗が目立っている。外国人観光客が姿を消し、2度にわたる緊急事態宣言を経て、国内からの観光や地元の消費も冷え込んだまま。関係者は「まちの活気が損なわれ、長引けば取り戻せなくなる」と危機感を募らせる。

 買い物客の往来がまばらな新京極商店街(中京区)。降りたままのシャッターに「テナント募集」と書かれた張り紙のある店舗が目に付く。土産物店の女性(40)は「昨秋から今年初めにかけて増えた」と明かす。

■和雑貨、タピオカの撤退目立つ

 同商店街振興組合によると、昨年4月の宣言以降、組合に加入していた店舗23件が退店した。和雑貨やタピオカ専門店など、主に訪日客をターゲットにした店が目立つ。岡本喜雅理事長は「コロナ以前は商店街全体が訪日客の恩恵を受けていた。中小規模の店が多く、直撃を受けた」と話す。

 新たな出店も11件あったが、それでも減った店の半分程度に過ぎず、影響はリーマンショック後の不況期よりはるかに深刻だ。「好機と見て進出してくれる店もあるが、2度目の宣言発令で退店がさらに増えた。長引けばどうなるか、想像もつかない」。寺町京極商店街(同)も同様の状況で、空き店舗が6、7件増えたという。

■四条通では外資が…

 外資や大手の撤退が目立つのは四条通。四条繁栄会商店街振興組合(下京区)では、昨年4月には数件しかなかった空き店舗が、今では15件ほどに膨らんだ。イタリアのアパレルブランド「ベネトン」や紳士服チェーン「タカキュー」などが含まれる。

 野村清孝理事長は「コロナが長引くと読み、外資は判断が早かった。間口が広く、賃料が高い店の退店が多い」と話す。

 四条通では、四条河原町の京都住友ビル(旧「京都マルイ」)の後に家電量販店「エディオン」などが入る商業施設「京都河原町ガーデン」が今春開業予定など前向きな兆しもあるといい、「何とか乗り切りたい」と強調する。

■大手チェーンが頑張っている?

 唯一、空き店舗が減ったのは河原町通。河原町商店街振興組合(中京区)によると、昨年4月以降、総合ディスカウントストアなどの出店があり、空き店舗は数件減った。同組合は「(退店が少ないのは)もともと大手飲食チェーンが多く、親会社が頑張っているためでは」と推測する。

 ただ長引けば、現状で耐えている店にも影響は出てくる、との懸念の声も聞こえる。繁華街を中心に物件を取り扱う不動産店で、新京極商店街振興組合の理事の「リバース」小島敬史社長は「繁華街はまちの顔であり、文化や情報の発信源。活力を失えば街全体の魅力低下につながるため、各商店街が協力して乗り切る必要がある」と危機感を訴える。

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