発表時にはカスタムカーをずらりと並べてノーマルカーを一切展示せず、カスタム界隈で流行り始めていた“マジョーラ”を純正で採用。そんな尖った車が、かつてトヨタから販売されていた。当時若者を中心に、カスタマイズのベース車として絶大な人気を誇っていたトヨタ 初代bBだ。個性あふれるスタイルのカスタマイズ車が存在した、初代トヨタbBを写真とともに振り返ってみよう。
カスタマイズを全面に押し出した異例の先行発表
トヨタ 初代bBは、ヴィッツをベースに開発されたトールワゴン。ボクシーなスタイリングでチョイ悪な印象だったことと、カスタマイズ前提という開発コンセプトによって若者を中心に人気を集めた。
カスタマイズに対してメーカーであるトヨタの積極的な姿勢が伝わってきたのが、発売前の先行発表の場として選んだ2000年の東京オートサロンだ。特設の専用ブースには、ノーマルカーを一切置かなかった上、ディーラーオプション装着車やトヨタのカスタマイズ部門であるモデリスタのモデルだけではなく、アフターパーツメーカーのカスタムドレスアップカー8社のモデルも展示していた。
ド派手なマジョーラカラーを純正採用
マジョーラとは、光の当たり方によって色が変化する特殊塗料だ。
当時、保守的なイメージのあるトヨタ車で、特別仕様車とはいえ、かなり派手な印象を与えるマジョーラを採用したのは画期的なことだった。
挑戦的なオープンデッキモデル
カラーリング以外にも、車のカスタマイズの幅広さユーザーに示したのが、オープンデッキモデルだ。ボディ後部をカットして荷台とし、荷台部には個性的なアルミバーを設置するという、当時としてはかなり大胆なスタイルで大きな話題となった。
助手席側の前後ドアも観音開き仕様に変更。これだけの大幅な仕様変更の意図は、カスタマイズすることでこんなに楽しめることを、メーカー自らがお手本を示したと言える。
シンプルでカスタマイズしがいのあるデザイン
直線的な箱型のボディに、大きく前側に張り出したバンパー。日本車とは思えない、なんともアメリカンでシンプルなデザインは、カスタマイズによって、オーナーの個性を存分に発揮できる。
フロント部分には、トヨタのロゴマークはなくbBのロゴのみ。
ユーザーの個性をカスタマイズによって表現してもらうため、メーカーの個性を極力抑えた点も、カスタマイズ前提であるという開発思想を感じる部分だ。
狙い通り、カスタマイズパーツはアフターパーツメーカーから豊富に発売され、カスタマイズベース車としての人気を不動のものにした。
定番のエアロパーツだけではなく、車高を低くするサスペンションやマフラーまで、多種多様なパーツでユーザーは個性あるカスタマイズを楽しんだ。