諫早市長選 終盤情勢 激しく競り合う3候補 足で稼ぐ新人2人 組織戦展開の現職

宮本候補、山村候補、大久保候補

 任期満了に伴う諫早市長選は28日の投票に向け、終盤戦に入った。前県議で新人の大久保潔重(ゆきしげ)候補(55)、元国土交通省職員で新人の山村健志(つよし)候補(47)、現職の宮本明雄候補(72)=届け出順、いずれも無所属=の3候補が激しく競り合う。大きな争点は、3期12年の宮本市政の「継続か変化か」-。コロナ禍で選挙戦が制約される中、組織票を持つといわれる公明などの主要政党や連合長崎が「自主投票」を決定。“足で稼ぐ”新人2人と組織戦を展開する現職が、浮動票の掘り起こしへ懸命だ。

 25日朝、県内有数の交通量を誇る貝津町交差点。大久保候補がマイクを握り、18年の政治経験と実績をアピール。「古里に恩返しするため、市政に新しい風を送り込みたい」
 近くの工場団地に入ると、選挙カーでなく、歩いて支持を訴えて回った。「一人一人と顔を合わせて話すのが私の基本」。陣営幹部も「地域を丹念に回ってきた地道な活動が表れている」と手応えを語る。
 同日午後、市中心部に近い住宅街。日焼けした顔の山村候補が走りだした。「歩いて多くの人に知ってもらいたい」。後ろに続く大学生ボランティアたちは選挙ビラを配り、路上のごみを拾うクリーン作戦も。
 「諫早は変わる。任せてください」。国交省時代、本明川の利活用で見せた行政手腕を買われて出馬を決めたが、無名からの出発。陣営は「相手は強い。追い掛けていく」と気合十分。
 4期目を目指す宮本候補は、序盤から各地域を満遍なく遊説をこなす。農村部などでは支持者が集まり、“青空演説会”を重ねる。「これまで種をまき、芽が出て、3本の幹に育ってきた。厳しい選挙戦だが、大きな花を咲かせたい」
 ソニー新工場の誘致など数多くの実績を強調。「コロナ禍の先行きが見えない中、安心して市政を任せられるのは現職しかいない」と陣営幹部は意気込む。
 論戦の中心は、人口減少対策。開発規制が多い市街化調整区域の撤廃による「住みやすさ」を訴える大久保候補。山村候補は「10年後、人口1万人増」の目標実現へ子育て支援策などを掲げる。宮本候補は手掛けた施策を発展させ、「子や孫のために自立できる都市にする」と唱える。
 今回、現職を取り巻く支持風景が変化。自民は推薦したが、前回推薦した公明、旧民進の国民民主と立憲民主両党、連合長崎が「自主投票」を選択。選挙戦への影響は未知数で、水面下で票を奪い合う状況に。浮動票が多いとみられる旧市域(約7万6千票)の動向が勝負を分けそうだ。
 投票率は2005年の市町合併後、過去最低だった前回58.22%を上回るとみる向きが多い。24日までの3日間の期日前投票は、前回同時期を1829人上回る8778人で、関心の高さをうかがわせる。
 選挙人登録者数(有権者数)は11万2764人(男5万2585、女6万179)=20日現在、市選管調べ)。

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