人情が生んだ大阪の庶民グルメ!串かつの発祥店「串かつだるま」

大阪を代表する庶民グルメ、串かつ

たこ焼きお好み焼きと並ぶ大阪名物、串かつ。この庶民グルメは90年ほど前、新世界(通天閣の周辺)の、とある店で生まれました。

本家本元の串かつには、「ソースを付けるのは一度だけ」といったルールがあります。こだわりのグルメが誕生した背景を紹介します!

新世界で生まれた人情グルメ

串かつが誕生したのは1929年。当時、新世界には多くの日雇い労働者がいました。

毎日汗水を流して働いても、賃金は決して多くない。そんな彼らに、安くてお腹いっぱいになる食べ物を作ってあげたい。そう考え、ある女性が一口大に切った食材を串に刺して、揚げて提供したところ、大人気になりました。

串かつの発祥店「串かつだるま」

この女性が経営していたお店こそ、串かつ発祥店として名高い「串かつだるま」です。サクサクとした食感が魅力の串かつはその後、大阪を代表するグルメとして認知されるようになっていきます。

「串かつだるま」は当初、屋台でしたが、現在は「串かつだるま新世界総本店」のほか複数の店舗があります。

総本店は広さ3坪、カウンター席12のみと小さいお店ですが、創業時の雰囲気が漂い、当時の味もしっかりと受け継がれています。

ソースは2度付け禁止!

「串かつだるま新世界総本店」に入ると、テーブルの上にソースの入った容器が置かれています。しかし、ソースに串かつを付けていいのは1度だけ! それも、口をつけていない串かつのみです。

ソースの2度付けが禁止なのは、衛生上の配慮がありますが、それだけではありません。

串かつはもともと、お金のない労働者がお腹いっぱい食べられるように作られたものでした。その際、客が自ら使う分だけソースを付けるようにした方が、ソースの無駄がなくコストを抑えることができるため、このようなルールができたということです。

串かつにソースを付ける際は、とにかく一度にたっぷり付けましょうね!

なお、客が店を出ると、店員が容器内のくずを取り除き、ソースをきれいな状態に保つようにしてくれます。

店長のオススメは?

串かつ発祥の店に行くからには、さまざまな串かつを試してみたいもの。「串かつだるま新世界総本店」には、38種類ものメニューがあります。以下、新世界総本店の店長、平野さんのオススメメニューです。

トマト

平野店長の一番のオススメはトマト。薄い皮のミニトマトに、特製の衣が付いていて、食べるとトマトのジューシーさが口の中に広がります。熱が通って甘みが増したトマトは、まさに絶品。

元祖串かつ

創業時の味を保つ「元祖串かつ」。揚げたて熱々の牛肉串は、サクサクの衣、甘辛いソースとよくマッチします。これが当時の労働者たちの胃と心を慰めたと思うと、感慨深いですね。

どて焼き

「串かつだるま新世界総本店」で唯一の揚げ物以外のメニュー。こんにゃくや牛すじを味噌だれで長時間煮込んだ一品です。

味の染み込んだ牛すじは、柔らかくとろみがあり、こんにゃくはしっかりと味がつき、食感も最高です。

総本店セット

何を注文したらいいか分からない時は、「総本店セット」(総本店のみで提供)を選びましょう。元祖串カツやどて焼きのほか、魚介や野菜を合わせた9本の串揚げがセットになっています。筆者は、あっさりしたアスパラガスが特に気に入りました!

キャベツで油っぽさを中和

「串かつだるま新世界総本店」では、キャベツを好きなだけおかわりできます。串かつの油っぽさをキャベツで中和することで、たくさんの串かつを楽しめますよ。

なお、キャベツはソースに付けても大丈夫ですが、串かつと同じく、こちらも2度付け禁止です!

筆者が取材に訪れた時、隣の席を見てみると……。男性の方が、1人でこれだけ召し上がっていました。この串の数を見るだけで、「串かつだるま新世界総本店」の串カツがいかにおいしいか、分かりますね!

家族経営からチェーン店展開へ

「串かつだるま」は、はじめは家族経営でしたが、3代目の時に後継者がいなくなり、一時は閉店を考えたそうです。

しかし当時の常連客に勧められて、現社長に襷を渡すことになります。その後、チェーン店を展開していき、大阪の三大グルメのひとつにまで成長させることができました。

「串かつだるま」の店外には、2度付け禁止を訴える強面のおじさんが立っています。これは、現社長をイメージしたもののようですね(笑)。

揚げたての串かつをどうぞ

小さな串かつには、温かい大阪の人情が詰まっています。揚げたて熱々の串かつを食べながら人情を感じたければ、ぜひ、「串かつだるま」に行ってみてくださいね。

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