【幕末維新 山口れきし散歩】 No.14 「石州街道」

▲春陽に誘われて(山口市朝田)

 石州街道は、山口市小郡下郷の津市から阿東徳佐上の野坂峠を結ぶ全長約55キロの主要往還である。

 このルートは、1863(文久3)年4月16日、藩主・毛利敬親による山口移鎮以降、にわかに慌ただしくなった。長州藩は同年5月10日の攘夷実行の後、奇兵隊および諸隊を結成し、禁門の変、下関戦争、内訌戦、四境戦争など幾多の困難を乗り越えてきた。その頃この街道は、人々によって様々な物資が運ばれ情報が行き交った。また、多くの志士たちが駆け抜け、時代を加速させていった。

 そして今、往時に思いを馳せながら、この街道を歩く。聞こえてくるのは、風のささやきと、鶯の鳴き声のみである。

防長史談会山口支部長 松前 了嗣

© 株式会社サンデー山口