ヤクルトが阪神・佐藤輝に開幕戦から容赦ない「異例シフト」その狙いと対策を識者に聞いた

プロ初打席で左犠飛を放った佐藤輝

ヤクルトが26日の阪神との開幕戦(神宮)で見せた「怪物ルーキーシフト」が話題を呼んでいる。

オープン戦の新人記録となる6本塁打をマークするなど、虎党のみならず野球ファンの大きな注目を集めている阪神・佐藤輝明内野手(22)は「6番・右翼」でスタメン出場。この佐藤輝が打席に入ると、ヤクルト内野陣は遊撃手が二塁ベース後方、二塁手は一、二塁間の真ん中に守備位置を変え、極端に右寄りの「佐藤輝シフト」を敷いたのだ。

三塁手は定位置のため、三遊間はガラガラとなってしまうが、佐藤輝は左方向にも本塁打を打てるなど、決して引っ張り専門の打者ではない。このシフトの狙いは何なのか…。

本紙評論家の伊勢孝夫氏は「ヤクルトは明確な意図をもってこのシフトを敷いている。相手に考えさせて、打撃のリズムを崩そうというのが狙いではない。おそらくは佐藤輝の弱点が内角にあることを見抜いたのだろう。大学時代からインサイドの対応に問題があるという話も聞いていたし、ヤクルトはこの前のオープン戦でもそれを確かめている。それにしても開幕戦からルーキー相手にシフトを敷くとは、ちょっと聞いたことがないね。それだけこの男をノセたらまずいことになると、警戒しているんやろう。今後は他の球団もヤクルトの攻め方に追随するのでは」と指摘した。

ヤクルトは3月16日の阪神とのオープン戦で佐藤輝と対戦。その試合では5号本塁打を打たれているが内角攻めを徹底し、高津監督は「ある程度、答えは出たんじゃないですか」と話していた。当時からこの「佐藤輝シフト」を温めていたのだろう。

では、これに対する佐藤輝はどうすればいいのか。伊勢氏は「打席での狙い球は、インハイの速い真っすぐはボールを振らせようとしてくるから捨てること。内角一辺倒といっても、アウトローへ落ちる球もまぜてくるから、消さずに頭に入れておくこと。おそらく外の真っすぐはほとんど投げてこないだろうが、チマチマシフトの穴を狙うようなバッティングをしてほしくはないね。逆方向へ無理に打とうとすると自分のスイングを見失うことになるし、目先のチームの勝ち負けよりも、佐藤輝のこれからの野球人生のことを考えたい。王(貞治)さんのようにシフトに正面から挑む打撃をしてほしい」とした。

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