MotoGP第1戦カタールGP:ドゥカティのミラーが初日総合トップ。レコードタイムにあと0.007秒まで迫る

 2021年シーズンのMotoGPが、カタールのロサイル・インターナショナル・サーキットで幕を開けた。フリー走行1回目、2回目が行われた開幕戦の初日を制したのはジャック・ミラー(ドゥカティ・レノボ・チーム)。オールタイムラップ・レコードに迫るトップタイムを記録した。
 
 開幕戦のカタールGPには、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)が欠場を発表。右上腕骨の骨折から回復中のマルク・マルケスは3月16日にはスペインのカタルーニャ・サーキットで、19日にはポルトガルのポルティマオでホンダRC213V-Sを走らせてライディング復帰を果たしたが、開幕戦の参戦は見送りとなった。マルク・マルケスの代役として、テストライダーのステファン・ブラドルが参戦となった。
 
 レギュラーライダー21名とブラドルを加えた22名がカタールGPのエントリーリストに名を連ねている。うち3名、エネア・バスティアニーニ(エスポンソラーマ・レーシング)、ルカ・マリーニ(スカイ・VR46・エスポンソラーマ)、ホルヘ・マルティン(プラマック・レーシング)はMotoGPクラスのルーキーである。
 

■FP1:ヤマハサテライトのモルビデリがトップ、2番手にはアプリリアのアレイシ・エスパルガロ

 2021年シーズンの口火を切るセッション、フリー走行1回目は気温28度、路面温度26度のドライコンディションで始まった。転倒者第1号になってしまったのは、ヨハン・ザルコ(プラマック・レーシング)で、最初のタイム計測が始まったその周に4コーナーで転倒を喫している。
 
 セッション序盤からフランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)、マーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)、そしてアレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ)などがトップにつける。
 
 ビニャーレスは、クルーチーフであるエステバン・ガルシアが不在という状況。水曜日のPCR検査では陰性の結果だったものの、予選日である土曜日まではホテルから出ることができない、とビニャーレスが木曜日の取材のなかで明かしていた。同じくアレックス・マルケス(LCRホンダ・カストロール)もクルーチーフが同様の状況で、木曜日のPCR検査では陰性だったがプロトコルに従い、ホテル待機となっているということだ。
 
 開始20分すぎ、ジャック・ミラー(ドゥカティ・レノボ・チーム)が転倒。ザルコが転倒を喫した4コーナーでスリップダウンを喫した。次いで、ポル・エスパルガロ(レプソル・ホンダ・チーム)が転倒。こちらは6コーナーである。どちらもいったんピットに戻ったのち、再び走行を行った。
 
 序盤にトップにつけたモルビデリはその後もタイムを更新し続け、セッション終盤、残り時間が5分を切ってもトップを維持。残り時間1分になるころには、アレイシ・エスパルガロがいったんトップに立つも、直後、モルビデリがそのタイムを更新する。モルビデリはこのとき、1分54秒921を記録して、そのままトップでセッションを締めくくった。2021年シーズンMotoGP最初のセッションを制したのは、2019年型がベースになっていると言われるAスペックを駆るモルビデリとなった。
 
 2番手はカタール公式テストでトップ6以内のポジションで終えていたアレイシ・エスパルガロ。アプリリアは今季、唯一コンセッションの適用を受けており、エンジンのアップデートが可能である。3番手は中盤に転倒したミラー。4番手にファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)で、ディフェンディングチャンピオンのジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)は5番手だった。トップ5にはヤマハ、アプリリア、ドゥカティ、スズキがつける結果となっている。
 
 KTM勢の最上位はミゲール・オリベイラ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)で、10番手。ホンダ勢はアレックス・マルケスの11番手が最上位で、中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は12番手だった。
 

■FP2はドゥカティの新たなファクトリーライダー二人がワン・ツー

 フリー走行2回目は、陽が落ちた時間帯、現地時間の20時から行われた。路面温度は26度と変わらずながら気温は25度に下がり、多くのライダーがソフトタイヤまたはミディアムタイヤを履いた状態からセッションを開始した。
 
 開始早々にはミラーとフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)といった二人のドゥカティライダーがトップ2につけた。しかしセッション開始8分、路面状況を理由に赤旗提示。フィニッシュライン上付近に破片のようなものが散らばる様子が確認できている。約7分の中断ののち、セッションは再開した。
 
 セッション中盤、アレイシ・エスパルガロがトップに浮上。この日初めて1分54秒を切るタイムをマークした。その後残り時間15分を切ってクアルタラロ、さらにバニャイアがトップに立った。
 
 残り時間3分を切ると、バニャイアのチームメイトであるミラーが1分53秒387のトップタイムをマーク。これまでのオールタイムラップ・レコードである1分53秒380に迫るタイムを初日にして記録する。ミラーはそのままトップをキープし、開幕戦カタールGPの初日をトップで終えた。
 
 2番手はバニャイアでドゥカティがトップ2を占める結果となった。3番手に食い込んだのがクアルタラロ。4番手にはザルコ、5番手がアレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)で、トップ5にドゥカティ勢3人のライダーが入っている。フリー走行1回目で2番手タイムだったアプリリアのアレイシ・エスパルガロは8番手。トップ10以内で終えた。
 
 ヤマハ勢としても3番手のクアルタラロに続き、ビニャーレスが6番手。ビニャーレスはフリー走行1回目で、コースアウト時もスタートの練習を行う様子を見せていた。このスタートの改善について、ビニャーレスは公式テストのときから取り組み続けている。また、モルビデリが7番手でバレンティーノ・ロッシ(ペトロナス・ヤマハSRT)が9番手というポジションである。
 
 対照的だったのがホンダ勢とKTM勢だ。ポル・エスパルガロはセッション中には5番手につける時間帯があったが、最終的には10番手。最後のラップではこの日2回目の転倒を喫した。ポル・エスパルガロが最上位で、ホンダ勢は10番手以下に沈んでいる。同じくKTMはビンダーの16番手が最上位という結果だった。
 
 ルーキー勢トップは、2020年Moto2チャンピオン、エネア・バスティアニーニ(アビンティア・エスポンソラーマ・レーシング)。15番手で終えている。

2021年MotoGP第1戦カタールGP フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)
2021年MotoGP第1戦カタールGP ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)
2021年MotoGP第1戦カタールGP ヨハン・ザルコ(プラマック・レーシング)
2021年MotoGP第1戦カタールGP ポル・エスパルガロ(レプソル・ホンダ・チーム)

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