オリックス開幕10連敗で見えた若手の育成 大型内野手コンビには我慢が必要?

試合終了後のオリックスベンチの様子【写真:宮脇広久】

先発の山本は責任を背負う「その後に僕が抑えられればよかった」

■西武 4-3 オリックス(26日・メットライフ)

オリックスは26日、敵地メットライフドームで行われた西武との開幕戦に3-4で惜敗し、開幕戦は2011年の引き分けを挟み、パ・リーグワースト記録を更新する10連敗となった。阪神が1991年から2001年にかけて喫した日本ワーストの開幕戦11連敗にリーチをかけた格好だ。

昨季のパ・リーグ奪三振王で自身初の開幕投手を務めた山本由伸投手は、7回6安打4失点だったが、自責点は3回の森のソロによる1点のみ。その他の3点は味方のエラー絡みだった。

1回1死二塁では、森の詰まったニゴロに二塁手・太田椋がバウンドを合わせ損ね後逸。チームの今季初失点をタイムリーエラーで献上した。3回、森に1発を浴びた直後にも、山川の遊ゴロを遊撃手・紅林弘太郎がファンブルし、出塁を許したのをきっかけに失点した。さらにいえば、2回先頭の中村が放ち左前へ抜けていったヒットも、当たりは痛烈だったが、遊撃正面のコースで、山本には気の毒だった。

山本は「開幕戦ということで、雰囲気が多少違いました。野手もこんなに緊張することはあまりないと思う」と語り、「難しいバウンドだったりしたので、仕方のないプレーだったと思う。その後に僕が抑えられればよかった」と責任を背負った。

2年連続最下位&6年連続Bクラスも太田、紅林の大型内野手コンビが台頭

昨季まで2年連続最下位、6年連続Bクラスのオリックスだが、昨季途中から監督代行として指揮を執っていた中嶋聡監督が正式に指揮官に就任した今季は、例年になく明るい話題が多い。太田は2018年ドラフト1位の20歳、紅林は19年2位の19歳で、ともに大型の内野手。思い切りのいい打撃で台頭し、そろって開幕スタメンの座を勝ち取った。26歳の佐野皓大外野手も「1番・中堅」定着を期待されている。

投手陣はもともと山本、山岡泰輔、田嶋大樹の先発3本柱が強力で、これに加えて19歳左腕・宮城大弥の成長も著しい。球界関係者の間では「今季はともかく、数年後が非常に楽しみなチーム」との声が高い。

もっとも、若手を大きく育てるには、少々のミスや失敗があっても使い続ける我慢が必要になる。太田、紅林は開幕戦の異様な雰囲気の中で経験不足を露呈した格好だが、2人とも打つ方では1本ずつヒットを放ち、次戦以降につなげた。大物FAでも獲得しない限り、最下位チームをいきなり優勝争いまで引き上げるのは難しい。育成には時間がかかる。中嶋監督のチーム強化への挑戦は、まだ始まったばかりなのかもしれない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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