東松山女子高の奇蹟、佐野元春 with ザ・ハートランド が私にくれたもの 1981年 3月6日 佐野元春 with ザ・ハートランドのライヴが東松山の女子高校で開催された日

女子校の体育館で行われた佐野元春 with ザ・ハートランドのライブ

佐野元春 with ザ・ハートランドと、この日のために頑張ってくれた実行委員に感謝を込めて…

その日、田舎の小さな女子校の体育館で何が行われているか、だれも知らない。その場にいた人達だけが、その歴史の渦の中に放り込まれていった(※伊藤銀次さんのコラム『東松山女子高の奇蹟、佐野元春 with ザ・ハートランドの快進撃が始まった!』をご覧ください)。

そう、佐野元春 with ザ・ハートランドのライブの真っ只中に… である。

パワフルで止まることを知らない大きなエネルギーの渦が、たくさんの音と言葉と共に皆を巻き込み、天へと突き抜けていく。

こんな凄いエネルギーを感じたことがあるだろうか。佐野元春 with ザ・ハートランドを知らなくても、そんなことはもう関係ない。誰も気にしてはいない。彼らの創り出すすべての音に、ひとつになっていく。誰もが時と空間を忘れてひとつのうねりになっていく。

パワフルでエネルギッシュ! TVやラジオでは体感できない “生きている音”

今この一瞬、一瞬を、なんの設備も揃っていない高校の体育館で、そんなことなど気にも留めず、佐野元春 with ザ・ハートランドがどんどん突き進んでいく圧巻のライブ。

外では優しい春の陽射しに小鳥たちが囀っている。今この音楽の箱を開けてしまったら、小鳥たちはロックを刻み始めるだろう。

本当にこの小さな体育館という箱ではもったいないライブ。それを忘れさせるくらいパワフルでエネルギッシュ。TVやラジオでは体感できない “生きている音”。音って生きているんだ! と実感させられた素晴らしいものであった。これがライブなんだ! と教えてくれた。

ライブハウスやコンサート会場のように整った環境ではない場所のライブにかかわらず、この圧倒的パワーって何だったんだろう… と思いを馳せる。それは、音楽が大好きで、自分の信じる道を歩き続けるポジティブさと努力なんだと思った。

衝撃だった「アンジェリーナ」と佐野元春との出会い

このライブの1年前に全てが動き始めていた。1980年の初めのころ、その日たまたまつけたFMラジオから流れてきた曲。その出会いは衝撃であった。運命といっても過言ではなかった。不思議にそのリズムとビートとメロデイーは自然にすんなりと身体の中に入ってきた。それが「アンジェリーナ」。

その瞬間からそのサウンドが忘れられず、毎晩深夜ラジオサーフィン(今でいうネットサーフィン)。寝る間も惜しみ探して聴きまくった。今ほど情報もなく(アナログ人間なので)探してあてて聴けたらラッキー。その当時、彼らの音楽はラジオだった。だから365日ラジオデイズ。

そんなある日、教室の黒板に3人のアーティストの名前が書かれてあった。まさかの衝撃、そして感動! 申し訳ないが、ほかの2人の名前は全く記憶にない。気分は急上昇、舞い上がり天井を突き抜け天まで駆け上がった。同級生を巻き込み、そのアーティストを推した。それが「佐野元春さん」である。

残念ながら自分は実行委員ではないので、当日までの成り行きはわからないし、舞い上がっているから周りなんて見えていなかった。まさか! こんな田舎の小さな女子校に! アンビリーバブル!

ありがとう! 感謝! 感動! 当日までの興奮は計り知れない。

夢なら覚めないで!

どんな時も全力! 佐野元春withザ・ハートランドのおかげで今がある

こんな環境の中で200%の素晴らしいパフォーマンスをしてくれた佐野元春withザ・ハートランド。どんな時も手を抜かない、全力で、あきらめない! それが佐野元春 with ザ・ハートランドがくれたパフォーマンスと一緒にくれたプレゼント。今の自分の力の源になっている。

この数年後、彼は自分の夢をリアルにするためニューヨークに渡った。自分の夢を確かなものにするためだと思った。自分も1992年にロサンゼルスへ渡った。今ポジティブな自分でいられるのは、この時の佐野元春 with ザ・ハートランドのおかげである。

ありがとう。いつも一人じゃない。一人の時もいつも隣には、佐野元春 with ザ・ハートランド、ザ・ホーボー・キング・バンド、ザ・コヨーテ・バンドがある。

このコラムを書いた2021年3月13日は彼の誕生日、そしてデビュー40周年の武道館コンサートの日。

佐野元春さん、おめでとうございます。

この日に筆をすすめられたことに感謝。今日… この日の武道館には、彼の音楽と音楽以外の活動に対する思いがたくさん詰め込まれていると思う。

この聖なる日に祝福を。

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カタリベ: 土屋美哉

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