高齢者の骨折リスク増 コロナ禍、リハビリ制限要因か 20年の手術件数は微増

 2020年に沖縄県内主要病院が扱った骨折の手術件数は4877件で、19年の4815件から微増したことが琉球大学病院のまとめで分かった。新型コロナウイルスの感染拡大で社会活動が停滞し、県内の交通事故件数などは減少したが、骨折は減らなかった。琉大病院整形外科の仲宗根哲医局長は高齢者のリハビリやデイケアなどが制約される中で、筋力や移動能力が低下する「ロコモティブシンドローム」(ロコモ)や骨粗しょう症が深刻化し、自宅での転倒骨折を招いている可能性を指摘。「ステイホームが強いられることで骨折のリスクは減るように思われるが、そうではなかった」としている。 琉大病院整形外科が「連携施設」と位置付ける県内の主要な総合病院(19年22、20年23施設)の手術実績をまとめた。全ての整形外科手術の中で「骨折」が占めた割合は19年に33.4%だったが、20年には36.0%に増えていた。

 年代別の統計はないが、高齢者に多い骨粗しょう症患者に多くみられる「大腿(だいたい)骨近位部骨折」は19年の2062件から、20年には2182件と120件増え、主に高齢者の骨折が増えたとみられる。高齢者の骨折はその後の「寝たきり」などのリスクも招きかねないことが指摘されている。

 仲宗根氏は「ステイホームで骨折は予防できず、むしろロコモや骨粗しょう症の増加を招き、骨折を増長させている可能性がある」と指摘した。またコロナ禍で病院の受診や治療が困難な状況になり、骨粗しょう症の治療中断を招いている可能性もあると分析した。

 リハビリやデイケアなどが制限される中での骨折予防について仲宗根氏は、バランス能力や下半身の筋肉を鍛えるために、自宅でもできる片足立ちやスクワットなどを続けることが重要だとした。

 (島袋良太)

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