鷹・川島、サヨナラ打以外に果たした役目…痛恨被弾の岩嵜を救った“たった一言”

ソフトバンク・川島慶三【写真:藤浦一都】

同点の7回には松田のエラーで許す…川島は周東らにゲキ

■ソフトバンク 6-5 ロッテ(28日・PayPayドーム)

ソフトバンクの川島慶三内野手は28日、ロッテとの開幕第3戦(PayPayドーム)で9回にサヨナラ打を放ち、劇的勝利の主役となった。二転三転するすさまじい試合でチームを救い、土壇場で逆転を許して負け投手になりそうな岩嵜翔投手を救った。ベンチ裏に引き揚げる際、川島は岩嵜と熱く抱擁。感謝する後輩に言葉をかけた。

同点で迎えた7回2死から松田のエラーをきっかけに勝ち越しを許したソフトバンク。8回裏にデスパイネの2ランで逆転するも、9回表2死から岩嵜が再逆転の2ランを献上した。重い空気も漂った9回裏。2死満塁までチャンスを広げ、川島がサヨナラとなる執念の2点打で試合に決着をつけた。

殊勲の一打に川島は「あそこはみんなの思いだけ。みんなが繋いで繋いでね。ネクストに立った時から(ベンチの)みんなの声が聞こえていました」と振り返った。お立ち台では「松田と岩嵜を救ったのは僕で~す」と少しおどけてみせたが「みんなで松田を救うんだ」という気持ちがチーム内にはあった。

7回に勝ち越しを許した直後の攻撃で、先頭の松田が凡退した際、川島はベンチの周東や今宮に「先輩のことを救えよ。明日は我が身だぞ」と声をかけたという。その今宮は9回2死から見事な繋ぎの二塁打。結果的には声をかけた川島自身がチームを救った。

昨季の開幕7戦目で満塁弾浴びた岩嵜に「声をかけてあげられなかった」

負け投手になりかけながら、一転して勝ち投手となった岩嵜とはハグを交わし、ひと言だけ伝えた。

「(岩嵜)翔からは『ありがとうございます』って言われました。自分がやったことは翔が一番わかっているから『全然いいよ』とは言えなかったですね。『次、頑張れよ』とだけ言いました」

昨季の開幕7試合目、メットライフドームでの西武戦で岩嵜は満塁弾を浴びてチームは敗戦。川島は「あの時、ベンチで声をかけてあげられなかったんですよね」と静かに振り返った。後悔にも近い思いが、この日の岩嵜とのハグに表れたのかもしれない。

自らの殊勲打で開幕3連勝スタート。しかも2試合連続のサヨナラ勝ち。「本当は逃げ切った方が楽なんですけど」と笑いながらも「去年はロッテさんに負け越しているので目の色を変えてチャレンジャーの気持ちでやっています」と川島。まだまだ続く今シーズンについて「気持ち一本、みんなの思い一本でやっていきます」と力強く誓った。(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)

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