【K―1】武尊VS天心 夏前に実現濃厚もルール、ラウンド数…課題山積

【写真右】武尊(左)の強烈なヒザ蹴りがレオナに突き刺さった【同左】リングサイドでは那須川が武尊の試合を見守った

世紀の一戦への道のりはまだまだ険しそうだ。立ち技格闘技「K―1」の年間最大興行「K’FESTA.4」(28日、日本武道館)でスーパーフェザー級王者の武尊(29)はレオナ・ペタス(28)を下しV2に成功。試合後は会場を訪れた“キック界の神童”那須川天心(22)に改めて対戦ラブコールを送った。いよいよ今夏前の頂上対決が現実味を帯びる中、水面下では多くの問題が山積している。

試合開始直前、会場に姿を現した那須川はリングサイドの特別席へ。その様子がビジョンに映し出されると、会場からどよめきが起こった。異様な緊張感が漂う中、武尊とレオナの試合は壮絶な打ち合いに。両者とも全く引かずに殴り合ったが、1ラウンド(R)中盤には笑みを浮かべた武尊が左のパンチを叩き込み、最初のダウンを奪う。2Rも壮絶な殴り合いの末、ハードパンチで2度のダウンを奪い完勝した。

試合後はマイクを握り「天心選手が世界中の強敵を倒して世界最強を証明している選手の一人だと思うので、天心選手と最高の舞台で最高の試合をしたいと思っているんで。長い間待たせてしまいましたけど、むちゃくちゃパワーのある試合だと思っている。僕はやろうと思っているんで、ぜひ天心選手、お願いします!」と呼び掛けた。

試合のタイミングについては「次戦? そうですね。まだ何も決まっていないですけど…。早くやりたいし、一番強い時にやりたい」と語るにとどめたが、関係者の話を総合すると2人の対戦は合意間近で、夏前に数万人規模会場での開催が濃厚だという。ただし、現在決まっているのはここまで。それ以外は全て白紙の状態だ。ある格闘技関係者はこう明かす。

「この試合はこれからが大変だ。全てで、もめる可能性がある。細かいルール、体重はもちろんグローブのサイズやメーカーはどうするのか。レフェリーは誰がするのか。リングの大きさは。そもそもこの試合は『武尊対天心』か『天心対武尊』のどっちなのか」

特に懸案事項となるのがラウンド数だ。KOで決着がつかなければ判定はジャッジに委ねられるが、世紀の一戦だけに注目されることは必至。そのため「誰もジャッジをやりたくない。いや、できないでしょう。かといってドローというわけにも…。そうなると、2人で決着がつくまでやってくれとなる」(別の関係者)というのが関わる人々の本音だ。そこで浮上しているのが「無制限ラウンド」だという。

総合格闘技では2000年5月の桜庭和志対ホイス・グレイシーで採用され、6R(1R15分)を戦い抜く90分の死闘となった。そこまでいかずとも「延長無制限」として規定ラウンド以降は、明らかな優劣がつくまで戦い続けることも検討されている。

多くの難題が立ちはだかるのも、注目の試合だからこそ。ルール問題を筆頭に、すでに両陣営の戦いは始まっている。

© 株式会社東京スポーツ新聞社