【高松宮記念】馬匠渡辺「ゴール前でグイッと前へ出たのはまさにキャリアの差だよ」

師匠の安田隆調教師(右)とがっちり握手

【渡辺薫&柏木集保「私たちはこう見た」・高松宮記念】

渡辺 2番人気のダノンスマッシュが前走の香港スプリントに続いてGⅠ連勝。国内初のGⅠタイトルを手にした。

柏木 はい。これで重賞は1400メートルの京王杯SCも含めて8勝目。ものすごく強いというイメージまではありませんが、これだけの勝ち鞍を積み重ねてGⅠも2勝したのですから立派ですね。

渡辺 そうだな。最後は2着レシステンシア、3着インディチャンプとクビ、クビの接戦になったけど、3頭の勝敗を分けたのはその実績だろうね。2、3着馬は適性はあっても、スプリント戦は今回が初めて。それに対して勝ち馬は海外遠征を含めて多くの経験を積んできた。ゴール前でグイッと前へ出たのは、まさにキャリアの差だよ。

柏木 同感です。差す競馬もできるから、いつもより後ろの位置取りでしたが、川田ジョッキーは直線を向くと迷いなく外へ持ち出しました。これまで厳しい競馬をしてきたことが勝利につながりましたね。

渡辺 昨秋のスプリンターズSが2着で、その時の勝ち馬グランアレグリアは不在。格からすれば順当勝ちかな。

柏木 これで父ロードカナロアに次いで父子制覇を達成。ダノンスマッシュはその父の初年度産駒になりますが、アーモンドアイに続いてまた大物を出したことになります。サンデーサイレンスほどではないにしても立派ですよ。

渡辺 2着のレシステンシアはどう見た?

柏木 パドックを見る限りでは、素晴らしい状態に仕上がっていたと思います。ただ、もう少し強気なレースをしたほうが良かったかも。早めに先頭に立って押し切るような…。まあ、それができないのはキャリアのなさでもあるんでしょう。

渡辺 インディチャンプも最後の直線は厳しいところへ入ってしまった。初めてのスプリント戦で少し追走に手間取ったから、結局あのコース取りになってしまうのは仕方がないんだろうが…。

柏木 やっぱり外のほうが有利な馬場でしたからね。

渡辺 昨年の勝ち馬モズスーパーフレアは今年も逃げたが、5着止まり。この馬にすればそうきつい流れでもなかったから、年齢を重ねて粘着力が落ちたということだろう。

柏木 ラウダシオンは強気に先行しましたが、直線は失速。渋った馬場が良くないのか、14着に大敗してしまいました。

渡辺 重馬場ではあったが、上位3頭は1~3番人気でGⅠでも好走してきた馬だからな。4着以下とはそれなりに力差があったということだ。

柏木 この勝ちタイムですから総合力が問われたはず。4歳馬はまだ見限れないにせよ、上位3頭は順当な結果ですね。

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