稲田屋の関東煮がついに復活!天満屋福山店での限定販売に密着

100年以上の歴史があり、関東煮や肉丼・肉皿が福山市民の心の味として親しまれていた「大衆食堂 稲田屋」。

2020年(令和2年)9月に惜しまれつつ閉店しましたが、同年12月に同じ福山の老舗企業 阿藻珍味(あも ちんみ)が事業を継承することになりました。

社員のみなさんが味の継承をし、ついに2021年(令和3年)3月に新しい稲田屋が動き始めたのです。

3月5〜7日の3日間、天満屋 福山店で関東煮の1日100セット限定販売が決定。

そこで、備後とことこでは稲田屋の限定販売に密着取材をおこないました。

待望の稲田屋 関東煮・復活の瞬間をレポートします。

追加情報

2021年3月17日に稲田屋を運営する阿藻珍味より、限定販売をした天満屋 福山店の地下食品売り場にて4月15日より当面のあいだ関東煮の1日数量限定販売を継続するとのお知らせがありました。

1日100セット限定・1セット5本入 900円(税込)です。

詳細は稲田屋 公式サイトを見てください。

天満屋 福山店にて3日間限定で稲田屋の関東煮が復活販売

在りし日の稲田屋

大正時代に創業し、100年以上の歴史があった大衆食堂・稲田屋。

稲田屋の名物は関東煮と肉丼・肉皿です。

関東煮も肉丼・肉皿も「福山市民の心の味」として、長きにわたり愛されてきました。

関東煮

関東煮とは

串にブタやウシの内臓肉を刺し、甘いタレで煮込んだもの。
ガツ(ブタの胃)とブタの小腸を刺した「シロ」と、フワ(ウシの肺)とブタの小腸を刺した「クロ」がある。
甘い味付けがクセになる。

しかし、2020年9月に惜しまれつつ閉店。

閉店が発表されてからは、連日店の前には長蛇の列が発生したのです。

閉店発表後の稲田屋

その後、同年12月には同じ福山で海産珍味を製造・販売する株式会社 阿藻珍味に稲田屋の屋号と事業の継承が発表されます。

開発部門の社員が、旧 稲田屋の稲田正憲(いなだ まさのり)さんから関東煮と肉皿の味や調理法を直伝してもらいました。

そして2021年3月、ついに阿藻珍味による稲田屋が動き始めたのです!

3月5日(金)から3月7日(日)の3日間限定販売で、場所はJR福山駅前にある百貨店・天満屋 福山店。

販売されるのは関東煮のみで、1日100セット限定です。

地下食品売場に特設会場を設置し、開店30分前より整理券を配布しての販売でした。

稲田屋の関東煮 販売当日のようす

備後とことこでは、限定販売初日の3月5日に稲田屋の再始動のようすを取材しました。

天満屋の開店時間は午前10時です。

整理券を配布するのは、開店30分前の午前9時30分から。

ですが、9時20分の時点で整理券配布場所には長蛇の列です。

10時ごろには、当日分の整理券はすべて配布し終えてしまいました。

地下食品売場のエスカレーター前に設置された特設売場
店頭には旧 稲田屋の稲田正憲さんの姿も
売場には、実際に旧 稲田屋で使われていた立て看板も設置
販売される稲田屋の関東煮

開店の10時を迎えると、お客さんが売場の前に並びます。

整理券を配布しているので売場に大行列はできませんが、次々と整理券を持ったお客さんが関東煮を買いにやってきました。

  • この日を待っていた
  • 閉店のときに食べられなかったので、今日は絶対に買いたかった

お客さんからは、いろいろな声が聞こえてきました。

関東煮の準備をするスタッフ
仕込みも大忙し

当日は市民の注目度も高く、多くのマスコミも取材に来ていました。

マスコミのインタビューに答える稲田さん

稲田屋の販売のことを買い物途中に知って、気になって社員に尋ねていたお客さんもいました。

稲田屋の再始動は、それほど福山市民にとって関心の高いできごとだったのでしょう。

稲田屋を運営する株式会社 阿藻珍味・粟村元則 社長にインタビュー

歓談する阿藻珍味の粟村社長(左)と稲田さん(右)

ついに動き出した、阿藻珍味による新しい稲田屋。

今後どのように展開していくのか気になるところです。

そこで販売会場に訪れていた、株式会社 阿藻珍味の代表取締役 社長・粟村元則(あわむら もとのり)さんにインタビューをしてみました。

──今回、天満屋 福山店での販売に至った経緯は?

粟村(敬称略)──

天満屋さんと、まったく別件で話をする機会がありました。

そこから自然と「天満屋さんで試験的に販売してみよう」という話になっていったんです。

天満屋さんは中心市街地にあって、JR福山駅前という立地。
お客様が多く集まる場所です。

そのときに、弊社が稲田屋さんの事業を継承したことに関する話になりまして。

まさに出店するのにピッタリの場所ですよね。
お客様も足を運びやすいと思います。

だから今回、3日間の限定ではありますが出店をさせてもらうことになったんです。

──限定販売だったのは、なぜ?

粟村──

まだ弊社では、関東煮も肉皿も開発部門の社員がつくっている段階です。

だから社員数も設備も限られて、つくれる個数に限界があります。
そこで、関東煮のみで日数・個数限定といたしました。

また新しい「稲田屋」としては、初めての販売です。
まずは「試運転」をしてみる必要もありました。

手応えがよければ、次の段階へ進めていきたいと思います。

次の段階とは、開発部門から製造部門へうまく「パス」することですね。
常時販売できる体制にしていきます。

──手応えは感じた?

粟村──

私の想定を超える手応えを感じています!

まさか開店前から多くのお客様が並び、こんなに早く整理券がなくなるとは思いませんでした。

注目していただいて、大変ありがたく感じていますね。

そのいっぽうで、今回食べたくても食べられなかったお客様には、大変申し訳ないと思っています。

食べられなかったお客様のためにも、なるべく早くスムーズに開発部門から製造部門へ引き継ぎができるようにしようと思いました。

稲田さんの味を守りながらつくっていくので、大量販売は難しいかもしれません。
しかし毎日安定した量を提供できるように、体制を整えていきたいですね。

市民のみなさまにはもうしばらくお待ちいただくことになりますが、ぜひ楽しみにしていてください。

肉皿のほうも、なんとか販売が実現できるようがんばりたいと思います。

旧 稲田屋の稲田正憲さんにインタビュー

稲田 正憲さん

新しい稲田屋の販売所には、旧 稲田屋の店主で阿藻珍味の味を伝授した稲田正憲さんも駆けつけていたのです。

そこで、稲田さんにも話を聞いてみました。

──稲田屋の味を伝授した阿藻珍味による、新・稲田屋の試運転の日を迎えた感想は?

稲田(敬称略)──

私が思っていたより反響が大きく、驚いています。

こんなに早く整理券がなくなるとは、思いませんでしたよ。

待っていてくれたお客様の多さにビックリしました。

このようすだと明日(3月6日)、明後日(3月7日)も多くのお客様が来るのではないかと思っています。

──阿藻珍味による稲田屋は、どのように映った?

稲田──

あくまでも今日は、私はごあいさつのためにここに立っているだけ。

今日の主役は「稲田屋」のスタッフのみなさんですから。

味を伝授していたときから、スタッフのみなさんの熱い思いに圧倒されてきました。
今日もそうですね。

もう何も言うことはないですよ。
スタッフのみなさんがしっかりやってくれていますので。

あとは、レギュラー販売されることを待つだけですね!

市民が待ち望む稲田屋 関東煮の復活

稲田屋の関東煮の限定販売にあたり、整理券開始前には行列が発生。

そして、あっという間に整理券の配布が終わり、買えなかったお客さんにもたくさん声をかけていました。

福山市民の期待の大きさがわかります。

そして、阿藻珍味の今後の展開が気になるところです。

新たな展開が始まることを、楽しみに待ちたいと思います。

追加情報

2021年3月17日に稲田屋を運営する阿藻珍味より、限定販売をした天満屋 福山店の地下食品売り場にて4月15日より当面のあいだ、関東煮の1日数量限定販売を継続するとのお知らせがありました。

1日100セット限定・1セット5本入 900円(税込)です。

詳細は稲田屋 公式サイトを見てください。

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