震災からコロナへ…活かされる教訓、緊急時に必要な情報とは?

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。「オピニオンCROSS neo」では、フリーアナウンサーの丸山裕理さんが“被災地で本当に知りたい情報”について述べました。

◆緊急時、被災地で役に立つリスナーの声

災害時の第一情報提供者として期待されるラジオですが、数々の大規模災害を経て、緊急時だけでなく、復興段階でも重要な役割を果たすこともわかってきました。なかでも地域に密着したコミュニティFM局の存在感が見直されています。

今回、丸山さんは"原発から最も近い放送局”と言われ、福島県いわき市で東日本大震災発生時から約20日間に渡り生放送を続けたコミュニティFM「SEA WAVE FMいわき(以下、FMいわき)」に取材を敢行。その取材を通じ、「(災害時の)伝え方を伝承したい」との思いから、FMいわきについて語ります。

発災後20日間、FMいわきは何を伝えていたかというと、通常の災害報道は避難・被害状況の報告が多いなか、それ以外に「生活情報」やATMの稼働状況などを伝える「金融情報」など、さまざまな情報を取り上げていました。特に「避難先でどんな生活を送っていかなければいけないのか、ということを重点的に紹介していた」と言います。

また、およそ9,000回に渡る放送のなかで、局側が「被災者が本当に知りたい情報に気づくことができた」と丸山さん。例えば、水道の復旧状況を順次伝えていましたが、リスナーが本当に求めていたのは自分の地域がいつごろ復旧するのか、その目処でした。そこで、FMいわきは水道局から復旧計画を入手し、今後の予定を発信するようにしました。

また、避難所に取材に行った際、体調を崩す高齢者が多くいたことを目の当たりにし、考え得る原因の1つとして、歯磨きをする機会が得られにくいからではないかと推察。そこで、それまで優先順位が低かった口腔衛生情報を新たに追加するなど、臨機応変に対応しました。

MCの堀潤が、使える情報を提供するFMいわきの姿勢に感心の声を上げると、丸山さんも「原点に立ち返り、被災地で役に立つ情報とは一体何なのかと考えたとき、リスナーからの声が一番大きかった」と大きく頷きます。

◆震災の経験をコロナ禍でも活かすために…

丸山さんは「この教訓はコロナ禍でも活かされている」と主張します。FMいわきでは震災後もリスナーの声を積極的に取り入れており、地元の高校生が番組作りに参加したり、復興状況を市民自らが伝えたりしていました。

そして、コロナ禍でもそういった経験を活かし、例えば外国籍の方々の情報提供を支援するなど、感染者の数だけでなくステイホームのなかでいかに楽しく過ごすのかの提案も行っていたことを紹介。丸山さんは「非常時こそ、こういう双方向の繋がりが必要」と言い、「復旧や復興というのは一括りにできない。その状況にあわせて伝える術を考えていくことが重要」と訴えます。

「SmartNews」コミュニケーションディレクターの松浦シゲキさんは、「今はラジオを持っていない人もいる。そういう人には伝わらない」と懸念点を示しつつ、「例えば、江東区では手回しで充電できる防災ラジオを配布している。インフラとしてのラジオを自治体などがサポートすることで、コミュニティFMの力がさらに発揮できるのではないか」とその解決策と可能性を示唆していました。

番組では、視聴者に「災害時にまず確認するメディアは?」というテーマで生投票を実施。結果は以下の通りです。

◆災害時にまず確認するメディアは?
テレビ……1,770票
ラジオ……219票
スマホ……639票
その他……63票

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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